Winな話

2013年12月「FMV BIBLO NF/G40」編

友人から起動しなくて捨てるというノートパソコンをもらってきました。
富士通のFMVというシリーズで2010年の発売、ウィンドウズ7のなかなかよいマシンです。症状としては電源スイッチを押してもファンは回るけれども画面が何もでないというものです。液晶ディスプレイかロジックボードの交換で直るのではないでしょうか。

その1. リフローをしてみた

手始めに外部モニタをつないで起動してみます。これで映れば液晶ディスプレイの不良です。ですが、何も映らない・・・ということはロジックボードですね。オークションで入手できないものでしょうか?調べてみると、それ以前に同じ不具合がたくさん発生していることがわかりました。なんでもGPU(グラフィックプロセッサユニット)というチップのハンダ付け不良らしいのです。ハンダ付け修理といっても半田ごてでやる訳ではなくて融けた半田の池の中に基板をくぐらすというりフロー専用の機械を使った大掛かりなものです。と思っていると、皆さん、ヒートガンで修理しているではないですか?よし、それならできそうだ、と秋葉原に行ってヒートガンを買ってきました。そして年末のお休みを利用して修理に取りかかった訳です。
まずは本体の分解。ネジの数は多いけれども比較的簡単にロジックボードを取り出すことができました。次にクーリングファンとヒートシンクを取り外します。うはあ、これか。たしかにGPUの上にごってりとグリスの固まりがくっついています。それをきれいに掃除して、アルミホイルでくるんで、ちょうど手術のときのように患部じゃない、チップをむき出しにします。チップ以外のところを加熱しないようにするためです。そして熱する温度は、昔の半田だと180度くらいで融けたものですが、最近の鉛フリー半田はもっと高い215度で融けるそうです。つまりチップを230-240度くらいにしなければなりません。もちろん、上げすぎてはチップがダメになるそうで、上限は260度とのことです。最初は遠くから、だんだん近づけてまずは150度くらいでしばらく予熱します。それから温度計を見ながら少しずつ上げて230度で1分間。そして徐々にヒートガンを遠ざけてゆっくりと冷ましてやります。これで終了。


これがFMVのロジックボード。格子状のヒートシンクの下にGPUがあります。

ヒートシンクを外しました。青いカバーのCPUの横にある小さな四角いチップが問題のGPUです。

秋葉原でヒートガンを購入してきました。

温度はテスターに熱電対を接続して測ります。

熱電対をチップの上においてヒートガンで加熱します。適温は220-230度。

GPUにだけ熱風が行くように周囲を保護します。

加熱する前に注射器でフラックスを流し込みます。

新たに買ってきた熱伝導性の高いグリス。

チップとヒートシンクにグリスを塗って合わせます。

よっしゃ、直りました!!

HDDやキーボードを付けて組み立てれば修理完了。

さて、リフローした基板を30分ほど置いて完全に冷まし、簡単に組み付けてわくわくしながら電源を入れてみました。さあ、出ろ、BIOS!!
ところがファンだけはブワ〜っと回るのですが・・・数秒経過してもバイオスの画面が出てきません。いやあ・・・失敗だったか・・ちゃんと温度も合わせたのに。仕方ありません。こうなったらオークションでロジックボードを入手するとしましょう。

 

2. リフロー失敗でロジックボード交換

それでオークションサイトでロジックボード単体と液晶が割れた本体の両方に網を張り、首尾よくロジックボードを入手したわけです。で、到着したボードを早速組み込んでスイッチオン・・・ンンンン?ピピッとも言わない絵も出ない。なんだこのボード、壊れてるじゃん! わ〜だまされた、返品交渉しなきゃ。 と天を仰いだところでピッと言う音がしてパッと画面が出ました。バイオスってしばらく電源が入っていないと、でるまで10秒くらいかかるんですね。ん、まてよ、ということはもしかして?あのリフローしたやつ?そこで修理したボードと取り替えてみたら、なんだ、BIOSが出るじゃん、直ってるじゃありませんか!最初のテストのときにもうちょっと待ってみればよかったのですね。そうすりゃ、オークションで買う必要もなかったのに。

ということで買ったボードはしばらく予備においておいてから売りに出すことにして、直った方のボードを使用して組み立てました。チップとヒートシンクの間には、熱伝導に優れた銀を含むグリスを塗りました。あれこれソフトをインストールしてメールのセットをするのに2日ほどかけて異常のないことを確認してから女房に渡しました。そうしたら、メールくらいにしか使っていないにもかかわらず、翌日、またも画面が出なくなってしまったのです。幸いオークションで買ったボードをとってありますから、すかさずそちらに取り替えて戻しました。やはり素人のリフローは再発しやすいといいますが、そうだったようです。

 

3. 再びのリフロー

このまま使い続けても大丈夫かと思った3週間後、またしても画面が真っ黒になりました。やっぱり設計そのものがだめなのですね、このパソコン。ネットで検索してみるとあるわあるわ、なかにはもう120台もリフロー修理をやったなどという記事もありました。とにかくGPUの放熱処理がよくないようです。それで半田が膨張や収縮を繰り返して、いつかつながらなくなるという訳です。
そこでもう一度ヒートガンで230度に熱してやらゆっくりさまし、今後はそのままヒートシンクを乗せるのではなく、放熱版とチップとの間に銅板をはさんで冷却するように加工しました。


GPUの周囲からメモリスロットのあたりまでのスペースが冷却に使えそうです。

厚さ0.3ミリの銅板を買ってきました。これで放熱版を作ってGPUを冷やそうと思います。

GPUのチップに直接のせてヒートシンクで挟むつもりです。結構大きくできました。

CPUのクーリングファンを取り付けました。銅板の空いている場所に放熱器も付けてみました。

キーボードの下のファンの吸気口がパネルでふさがれています。

プラスチックを切り取ってファンが見えるようにしましたす。

さて、これでしばらく様子を見ましょう。幸いロジックボードはもうひとつありますから、とりあえず今のを使いながらより効率の良い冷却方式を見つけることができるかもしれません。

以下がニューマシンの仕様です。

OS: Windows7 Home Premium 32bit
CPU: Athlon II M320/2.1GHz 2コア
メモリ: 2GB
HDD: 320GB

 

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