今年の夏は北海道に墓参りに行こうと思っていました。
当初は自分の車を使ってフェリーで北海道に渡り、利尻島を含めた道北のオホーツク海側などまだ行ったことのないところを行き当たりばったりで2週間くらいかけて回ろうと計画していたのですが、女房が息子も連れていきたいと言い出したので、息子が取れる休みに合わせて3連休に絡めての4日の飛行機利用に変更しました。
そこで、HISや阪急などの北海道ツアーをあれこれ調べて見つけたのがトラピックスの「成田発 ジェットスター便×新千歳空港】ホテルサンルートニュー札幌指定 札幌フリー1泊4日」というツアーです。これは羽田ではなく成田空港のLCC(ローコストキャリアの略、格安航空会社のこと)を利用して、ホテルは最初の一泊目だけツアー料金に含まれている、というものです。成田空港発着ということはそれだけ時間も交通費もかかるということです。そして2泊目と3泊目は自分で手配しなければなりません。
LCCはまだ乗ったことがないので、安いしどの程度のものか興味もあったので申し込んでみました。ただ、7月とはいえいいシーズンなので旅行社も強気ですねえ、午前中出発のいい時間帯のフライトにはぎょっとするような加算料金が設定されています。成田までの移動時間を考えるとそんなに早いフライトは使えません。かといって夕方のフライトでは到着しても何もできません。結局北海道行きはお昼前後を、戻りは午後2時千歳発のフライトを選択して、最終的な飛行機+ホテル代+レンタカー代は123,800円となりました。そして2日目は晴れていれば美しいであろう積丹半島を、3日目は雄大な景色を楽しめるニセコ、そして最終日は支笏湖を通って千歳に戻るルートを取ることにしました。宿泊は、積丹半島では神威岬周辺の民宿を探したのですが、ハイシーズンとあってどこもひとり1万円から2万円もするのですね。ようやく「Booking.com」で手ごろな神恵内の民宿とヒルトンニセコビレッジ!を予約することが出来ました。でもね、ここだけの話、天下のヒルトンのほうが民宿よりもずっと安かったんですよ、信じられます?
ということで今回の日程は;
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7月11日
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成田=>千歳、里塚に墓参りをしていとこ会に参加後「サンルート」に宿泊。 |
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7月12日
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友人に会ってから余市へ。昼食後ニッカ余市工場、神威岬を見て神恵内の民宿泊。 |
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7月13日
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盃温泉を経て岩内へ。ランチの後真狩村を見物してヒルトンニセコビレッジに宿泊。 |
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7月14日
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支笏湖経由で千歳に戻って回転寿司ランチ。レンタカーを返却して成田に戻る。 |
となりました。旅行の全行程は480km、使用燃料は25リッターで平均燃費は19.2km/l、高速料金は大谷地-余市だけの利用でしたが、1,720円でした。また、成田往復の交通費は高速道路2,880円に駐車場代2,808円の5,680円となりました。ちなみにJR利用だと3人で11,000円くらいになりますので、自家用車利用の方がずっと安いことがわかります。
●第1日目:7月11日(木)
さて当日、自分の車で朝8時半に自宅を出ました。篠崎から京葉道路に乗って東を目指します。成田インターで高速を出て側道を走り、9時半ちょっと過ぎに予約した民間パーキングに到着しました。
このパーキングは過去にインド出張と中国出張の時に利用したことがあるので勝手はわかっています。荷物をおろして受付で料金を払い、送迎バスに乗ります。バスはLCCの発着する第3ターミナルには行きませんので、最寄りの第2ターミナルで下車します。そこから第3ターミナルまでは数百メートルありますが、無料連絡バスもあるのでそれを利用します。バスを降りて2階に上がったところがジェットスターのチェックインカウンターです。すでにWebでチェックインはしてあるので、荷物をひとつ預けるだけですが、すべてがスムーズに来たので予定よりも早く進行していて時間は10時40分ですが、カウンターは11時からでないと受付をしていないのでしばし本屋で時間をつぶします。カウンターが開いたところでキャリーケースを預けて、手続き完了。LCCの場合本来なら荷物は有料となっていて15キロまでですと3,000円かかるのですが、私の場合はツアー料金に20キロまでの預け荷物代が含まれているので無料でした。
さて、千歳に着くのが2時なのでちょっと早いですが、ここでランチにしましょう。フードコートには7軒のファストフードのお店が入っています。私は「リンガーハット」の皿うどん、息子は「ぼてじゅう」のタコ焼きと焼うどん、そして女房は「讃岐うどん」の冷やしかけねうどん+いか天をチョイスしました。
食べ終わって、サテライトに移動します。なにしろ出発30分前に搭乗口にいなければチェックインしていても乗せてくれないくらい時間には厳しいのがLCCなのだそうです。ターミナルビルの2階から一度4階まで登って渡り廊下を渡ってからまたサテライトの2階に降りるのです。飛行機への搭乗は、ゲートを通ってから地上に降りて、またタラップを上がらなければなりません。ターミナルの構造すべてが、お金がないけれども元気な若者を対象に作られているというわけですね。ともあれ、出発便の混雑のため離陸まで少し待たされましたが、無事千歳へ向けて出発です。
成田空港に隣接する民間パーキングに車を預けました。 |
第3ターミナルの2階です。思ったよりきれいなターミナルですが、休憩するところが少ないですね。 |
ターミナルビルの一番奥にあるフードコート。7軒のお店が入っています。(写真はネットから借用) |
ボーディングブリッジを使えるLCCもあるのです。 |
ジェットスターはタラップを使用します。 |
ターミナルビルの4階まで登って渡り廊下があってまた2階に降りるのは、この構造のためでした。 |
さて、これから千歳までは、あと1時間ちょっとです。iPhoneにイヤホンをセットして音楽を聴きながら文庫本を読みます。窓の外は雲海で真っ白です。
やがて飛行機は海を渡って北海道に入り、だんだん高度を下げていきます。雲を抜けると緑の畑がパッチワークのように広がっているのが見えます。長沼町の上でぐるっと回りこんでUターンをしていますから、滑走路には北から侵入するようです。ドスンと着陸後タクシングして、ターミナルのそばに停止しました。ここからターミナルビルまではバスで移動するようです。バス移動なんて昔乗ったエアドウ以来じゃないかな?
ターミナルに入って5番の荷物引き渡し場で預けた荷物を受け取りましたが、通路に出てみるとすぐ横にターミナルホテルがあるということは、半円を描いているターミナルビルのずいぶんと南の方です。レンタカーのデスクが並んでいるのは北半分の真ん中に近い方。この建物って、1階フロアはなぜか真ん中に部屋があって南北がつながっていないので、例えばJALで到着した客がレンタカーデスクに行くときはいったん表に出るか、2階に上がらなければいけないのです。レンタカーデスクは1階ですし今は吹雪の季節でもないので表を迂回しましたが、誰が設計したのか知りませんがまったく迷惑なビルですよ。
オリックスレンタカーのデスクで名前を言って受付カードをもらい、送迎バスの停留所である南北の中央辺りに戻ります。バスで10分くらい走った線路の向こうがオリックスの事務所&駐車場です。ここで免許証のコピーを取って車を借り出します。今回も「お車をアップグレードしておきました。」と親切そうに話すのはいいのですが、前回昨年の11月に来たときにアップグレードしてくれたのはマークXの2.5リッターという車で静かですが燃費が悪い車でした。今回は積丹からニセコを回る予定なので燃費がいい車がいいな。「こちらです。」と出された車検証にはソリオと書いてありました。スズキの車ですね、スズキは初めてです。1200ccだし背が高い以外はアップグレードと言うほど大きい車ではないですね。外装の点検をして荷物を乗せて走り出します。うは、グニャグニャとした接地感のないハンドル、まっすぐ走らないしゴツゴツと突き上げがある・・・・エマージェンシーブレーキとかはみだし警告とか安全装備がいっぱい付いているけれども、グラグラと不安を感じる車ですね。
それはともかく、まずは千歳市内の花屋を目指します。前に行ったことがある花屋さんで母が好きだったムラサキの花を買いましょう。ちょうどリンドウがありました。それからコンビニで父親が好きだったサッポロビールと祖父母が好きだったお茶を買います。これでOK、国道36号線に乗って札幌に向かいます。北広島インターの近くで左に入り、里塚霊園に着きました。花を添えてお茶とサッポロビールを墓石にかけてあげました。
もうすぐ着陸です。 |
これは・・・長沼町ですね。左旋回しています。 |
スズキのソリオ。軽ではなく、1200ccです。 |
後席は左右スライドドアです。里塚霊園に到着。 |
お墓参りに来ました。ご先祖様、私たちをお守りください。 |
ではホテルに急ぎましょう。ホテルの駐車場に車を入れて部屋に入ります。5時半にいとこが迎えに来るまで20分しかありません。急いで支度をしてロビーに降りました。
私が札幌に来るというので、札幌在住のいとこたちが集まってくれて「いとこ会」をやるというのです。総勢8名、いとこの一人の馴染みの居酒屋でいつものように宴会です。皆、それぞれ年を取りましたが、これからも定期的に集まりたいものです。
いとこ会が終わってホテルに戻り、しばらくすると息子が「ラーメン食べたい」と言い出しました。ホテルのすぐそばに私が好きな「空」というラーメン屋があるので、案内します。開店当初はここだけでしたが、その後市内と千歳空港に支店を出し、海外にも8軒も店を出しているくらい繁盛しています。ふたりとも塩ラーメンを注文しました。カツオの出汁が出たスープに黄色いちぢれ麺、去年11月にも食べていますけれど、うん、美味しい。
最近気にいっている「空」です。 |
4-5人並んでいました。 |
いつもの塩ラーメンです。 |
この麺に特徴があります。 |
あ〜美味しかった。満足した。
ジンギスカンをはじめとして、まだまだ札幌で食べたいものはありますが今回はこれでおしまい。
●第2日目:7月12日(木)
2日目、窓のカーテンを開けましたが、降ってはいないもののどんよりとした天気です。
午前中は昨夜電話して連絡が付いた高校時代の友人に会いに行きます。父親の葬儀の時いらいだから10年ぶりくらいかな。仕事中の彼の職場にお邪魔して30分くらい話をして、大谷地から高速道路に乗ります。小樽の手前で最近開通した路線に乗って終点の余市で高速を降りました。ちょうどお昼の時間なので余市駅前の「柿崎商店」を目指します。ここは昔から地元のスーパーであり、2階は海鮮料理で有名な食堂になっているのです。狙いはずばり「うに丼」です。お昼時とあって階段の下まで並んでいますが、15分くらいで席に着くことが出来ました。注文したのは女房がホタテ丼で私と息子がうに丼です。今日のうに丼は赤うに(エゾバフンウニ)というので期待が膨らみます。
目立つオレンジの建物。「柿崎商店」に着きました。 |
例によって行列が出来ています。 |
もうすぐ店内に入れそうです。 |
列が進んでついに店内に入れました。料理が並んでいます。うに丼はまだあるかな? |
あった!しかも貴重な「赤=バフンウニ」ではありませんか。 |
宗八(カレイ)の塩焼きも貰いました。300円とはお安い。 |
やってきました、ホタテ丼です。 |
プリプリのホタテの上にイクラがトッピングされています。 |
そしてこれが赤ウニ(バフンウニ)のうに丼です。 |
ご飯が見えない、とはいきませんが久しぶりに食べるバフンウニです。 |
ご飯は普通の白飯と酢飯(+50円)が選べますが、これは白飯です。 |
うに丼を満喫したら、せっかく余市に来たのでお隣のニッカウィスキー余市工場をのぞいてみましょうかね。私と女房は2014年に来ていますが、息子は初めてですからね。
車は真ん前の町営駐車場に入れて(30分無料、1時間100円)自由見学します。ここは自分で勝手に見る自由見学とガイドさんが案内してくれるガイドツアー見学がありますが、どちらも無料です。もちろん最後に試飲も出来ますが運転者はジュースだけ。見学者用の車椅子があったので、脚を痛めて歩くのが辛いた息子のために借りました。
まずはお約束、誰もが写真を撮る定番スポットです。 |
晴れているようでも時々雨が降ってきます。 |
燃料は石炭です。 |
これがポットスチルと呼ばれる蒸留釜です。 |
工場内に銅像がありました。 |
やはり創業者竹鶴氏の銅像でした。 |
夏ですね、ハマナスが咲いています。 |
これはなんだろう?マメ科でしょうか。 |
竹鶴夫妻が住んでいた郊外の自宅を移築したそうです。 |
ウィスキーの貯蔵庫です。 |
10年貯蔵しておくと1/3近くが蒸発してしまうのだそうです。それを「天使の取り分」と呼びます。 |
これが最初のウィスキーですか。 |
このラベルが好きでした。お世話になりました。 |
見学終了。正門入り口の上にニッカの社旗が立っています。 |
調べてみたらこんな旗でした。(ネット画像を借用しました) |
余市を出て、古平、積丹町(美国)と海岸線を進み、国道229号線は美国から内陸に入ります。野塚からふたたび海岸線を走って余別の先に神威岬があります。私が子供のころは、積丹半島を周遊することはできませんでした。1996年に229号線が全線開通して小樽から江刺まで海岸線を通っていけるようになったのです。
神威岬灯台と神威岩。晴れていれば美しい「積丹ブルー」の海が見られます。(ネット画像を借用) |
岬の先からはほぼ360度の丸い水平線が見られるそうです。 |
アイヌの首長の娘チャレンカが嫉妬して女を乗せた船を転覆させたので岬一帯が女人禁制になったとか。 |
奥が神恵内方向です。昔が道が通じていませんでした。 |
近くに見えますが、灯台まで歩くと20-30分かかるそうです。 |
展望台まで登ってきました。駐車場が見えます。 |
薄日が差してきて、積丹ブルーがちょっとだけですが見えました。 |
神威岬を出て、229号線を南下します。ここから先が長い間未開通になっていて1996年に開通した最後の部分です。神恵内村までは約25km、この間戸数数戸の集落がいくつかあるだけで、スーパーはおろかコンビニすら1軒もありません。冬季など除雪がされなかったら完全に孤立した陸の孤島となるわけですね。
さて、急に民家が増えたなと思ったら神恵内村に入ったようです。大きな漁港をすぎると、もう村の中心部です。ほどなく黄色い建物が見えました。今夜の宿に到着です。さて、車はどこに止めるのかな?ガイドには敷地内に専用駐車場有となっていましたが、宿の前の国道に止めろということですか。まあ、国道でも駐車禁止になっていないからいいようなものですが、すぐ反対側に海水浴場の無料駐車場があるからそっちの方がよくないかなあ。
そして通されたのは2階の8畳間です。畳はきれいですが、布団が隅に積んであってテレビとストーブがあるだけです。あとから宿の人がハンガーと座布団を持って来てくれました。
7時の夕食までまだ2時間あります。お風呂・・と思っていると、「宿でチケットをあげるので近くの998温泉に行ってはどうか」とすすめられました。時間もあるし、どうせなら温泉の方がいいですね。はい、行ってきます。
ということで温泉を探して車で走ること約10分、案内看板などないまま突如「リフレッシュプラザ998」なる建物が見つかりました。これですね。それほど大きな建物ではありません。屋内湯はジャグジーと寝湯が三つそれに水風呂と温泉らしき濁ったお湯の浴槽がひとつです。このほかに露天風呂がありました。茶色く濁った温泉のお湯は結構熱めです。さっぱりとして宿に戻り、途中で買ったビールなどを飲んでいると夕食の時間となりました。
さてさて、この時期だから生ウニはちょっとくらい出るでしょう。イカの刺身があってガヤ(メバルのこと)の煮つけあたりか・・・などと想像しながら食堂に入ると、むむっちょっとばかり想像と違いますが、刺身はありますし焼き魚もあります。ウニは、小さじ1杯くらいの塩ウニでした。
中央の黄色いのが宿です。駐車は路上。 |
部屋です。テレビがかわいい。 |
リフレッシュプラザ998です。温泉は奥の茶色い浴槽ひとつと露天風呂だけ。 |
これが積丹の夕食なんですね。刺身の5点盛りにホッケの焼き物、塩ウニ、そしてホッケのつみれ汁でした。 |
せっかくのお刺身なので日本酒をもらおうとしたのですが、アルコールはビールと芋焼酎しか置いていないそうです。そこで焼酎をいただきましたが、まあ、普通の焼酎ですがお値段は・・・・翌朝の計算書を見ると1杯1000円となっていました。ひえぇ、居酒屋の倍だべさ!
夕食を終わってもまだ8時。寝るには早いのでぶらぶらと散歩に出ました。水平線上にはイカ釣り船の「漁火」がずらっと・・・と期待したのですが、全然見えません。街中には通行人もおらずポツンポツンとある街灯が光っているだけです。どこのお宅も真っ暗。遠くにたった一軒開いている商店の灯が異様に明るく見えます。帰っておとなしくテレビでも見ましょうね。
さて寝るかと布団を敷いてみると、敷布団は厚さ3センチくらいの見事なせんべい布団なのに掛布団は真冬仕様の10センチのもこもこ布団です。もちろんエアコンなし。ひと眠りしたところで暑くて目が覚めました。たまらず窓を開けると、1メーターほど離れた隣家の壁から突き出したFFヒーターの排気ガスが流れ込んできます。その上ラジオの深夜放送でしょうか、階下の開け放った窓からと思われるアナウンサーのキャンキャン声が聴こえてきてとても窓は開けていられません。何度か起きては廊下へのドアを開閉して部屋の空気を入れ替えました。これじゃ寝られんべさぁ〜
●第3日目:7月13日(土)
3日目の朝です。窓を開けると雲は多いですが、屋根に反射する太陽の光が見えました。
このホテルの宿泊プランには朝食が含まれていますので、顔を洗って身支度をしたら朝食を食べに食堂に降ります。
あら、朝食はパンなのですね。缶ジュースにヨーグルト、ゆでたまごにオレンジとサクランボ。はちみつバターとイチゴバターがあるけども、パンに甘いものを無る習慣がない私はどうすっぺ?ゆで卵を割ってパンにはさんで食べるしかないか・・・
あー残念、私的にはせめて目玉焼きにしてほしかったなあ。仁木町のサクランボはおいしかったけれど。 |
さて、では出かけるとしましょう。チェックアウトしてください。あ、クレジットカードが使えますか、じゃカードでお願いします。ところが宿のスタッフがカードを処理するのは初めてだそうで、奥からオーナーが出てきてタブレットの操作を一つ一つ教えています。「神恵内でカードが使えるのはうちくらいだべや。」と自慢のオーナー氏。カード対応は結構ですが、夏掛け布団の対応もお願いしますね。
荷物を玄関前に止めた車に積み込んで出発です。10分ほど走ってトンネルを抜けると、目の前に大きな岩が見えてきました。「盃(さかづき)温泉」の弁天島です。実はここ、以前に何度か息子と夏休みに海水浴に来た場所なのです。温泉付きの「もいわ荘」という村営の国民宿舎があって料理も美味しかったのです。なのになぜ今回そこに宿を取らなかったのか?というと、実は2012年に利用者の減少のため営業を停止し、2016年には建物が解体されてしまっていたのです。思い出の場所で車を降りて、しばし歩き周ってみました。
弁天島へは橋がかけられていて、いつでも島に渡ることが出来ます。 |
昔、ここには何軒も旅館があって賑やかでした。 |
駐車場になっている更地ですが、ここに5階建ての「もいわ荘」がありました。 |
これが在りし日の「もいわ荘」です。5階建て30室の立派なホテルでした。(ネット画像を借用) |
上の写真と比べてください。左のベージュの2階建ての建物はまだ残っています。 |
階段を降りたあたりで息子はカニ釣りをして遊んでいました。 |
昔は砂浜でしたが、今はコンクリートになっていました。 |
私はこのあたりで潜って遊んでいたのですが、いまは遊泳禁止ライン(赤いブイ)の外になっています。 |
積丹半島の西海岸です。 |
正面奥が岩内です。 |
思い出に浸ったところで気を取り直して岩内に向かって走ります。
泊村の少し手前にニシン御殿の表示がありましたので立ち寄ります。おや、意外ときれいな建物ですね。息子が歩くのが不自由なので中の見学はやめて外だけ見ます。
ニシン御殿とまり。ニシン御殿はあちこち見ましたが、ここのは非常に保存状態がいい建物です。 |
はい、岩内市街に入りました。昔の駅の跡である道の駅に行ってみましょう。何かお土産になるものはないか見てみましたが、これといったお菓子類はほとんどないですね。
道の駅いわないに来てみました。 |
外観に比べて割と内容が簡素な道の駅でした。 |
トイレを利用してすっきりしたところで昼食はどこにしましょうか。もう一回くらいうに丼を食べたいですよねえ・・・あらかじめネットで市内で人気の寿司屋さんは調べてあるのですが、あらためてうに丼の店を検索してみました。もちろん寿司屋さんでもうに丼はできるでしょうが、意外と隠れた名店があったりしそうです。ネットの評判を見てみると、うん、「海鮮屋」に決定。なぜなら訪問者の投稿写真ではご飯が見えないくらいうにが乘っているからです。
さっそく地図の場所に向かって走り出しますが、それらしいお店はありません。あれ、もしかして通り過ぎた公園の中なのかな?ぐるっと回って公園の駐車場に入ると、ありました。プレファブの食堂です。女房が走って行ってうに丼があることを確認してくれました。お店に入ってメニューを見て、女房がホタテ定食で、私と息子がうに丼という、前日と同じパターンの注文です。
うに丼様の到着。おお、これは・・・・ムラサキウニの塩水うにですね。ちゃんとご飯が隠れる量のうにが並んでいます。これは正しいうに丼です。理想のうに丼です。ネットの評価は正確でした。
お店は公園の中のプレファブとテントでした。女性ばかりで経営しているようです。 |
ホタテ刺し定食、1000円です。 |
プリッとしたいいホタテです。 |
うに丼は3000円。これはムラサキウニですね。でもいい味でした。 |
今は塩水うにがあるのでハズレはまずありませんが、これは特に味が濃いムラサキウニでした。 |
いやあ、満足です。北海道のうにを存分に楽しみました。お店の作りこそ簡素でしたが、十分にリーズナブルでした。海鮮屋、おすすめできます。
ではさらに海岸線を走りましょう。
途中に2か所休憩所があったので、降りて写真を撮ってみました。
敷島内風の駐車場から見た積丹半島。右端の明るいところは? |
北海道電力の泊原子力発電所です。三つのドーム型建屋が見えます。 |
カスペノ岬に有島武郎の文学碑がありました。 |
本文は墨が薄くなっていて読めません。雷電岬の岩は「弁慶の刀掛け岩」と呼ばれています。 |
雷電海岸の荒々しさは悪くないですね。東京生まれで札幌に住んだ有島武郎は岩内在住の画家木田金次郎をモデルにして「生まれ出ずる悩み」を書いており、その木田金次郎の美術館は道の駅いわないのすぐ隣にあります。もう20年近く前に父親と息子を伴って岩内に2泊したときに、私と女房は木田美術館を訪問しています。有島はニセコに農場を持っていましたが、晩年に自らの信条に従って農地を小作人に開放しています。「農地解放」の先駆けですね。戦後に占領軍のGHQが農地解放を行う20年以上も前のことです。
さて、国道229号線は磯谷の手前で尻別川に沿って右に分岐して曲がり、蘭越町に向かいます。これからは山越え、海岸線とはお別れです。
今夜の宿はニセコですが、隣町の真狩村に評判のそば屋さんがあってテレビで紹介しているのを見ました。そばが売り切れ次第終了ということなのでまだやっているかわかりませんが、行くだけ行ってみましょう。・・・・・とやってきたのですが・・・なんと残念なことに、今日は「臨時休業」ではありませんか。翌日の営業は11時半からなので、それまで待っていては飛行機に間に合いません。ま、今回はご縁がなかったということで。
まだ時間が早いので、真狩村のフラワーセンターというところに行ってみました。温室があってちょっとした植物園みたいなところで花や木を売っています。そして売店の一角には真狩村の著名人細川たかしの記念館があって、ポスターやステージ衣装、トロフィーなどが展示されていました。
ホテルに向かう道に羊蹄山から湧き出た水くみ場がありました。キンキンに冷えた美味しい水がどんどん湧き出ています。車内にあったペットボトルに詰めて持ち帰りましょう。
人気のそば屋「いし豆」さんに到着しました。 |
ガガーン!せっかく来たのに・・・ |
真狩村と言えばこの方、細川たかし先生です。 |
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空いたペットボトルに羊蹄山の美味しい水を汲んでいます。 |
今夜宿泊するのは、あのヒルトンホテルです。
なぜまたこんな一流のホテルに?実は予約サイトでおすすめになっていて、しかも今は「スキーのニセコ」にとってはオフシーズンになるからでしょうか、前夜泊まった民宿よりも安い値段で予約できたのです。温泉露天風呂もあり設備も完璧で、夕食代を入れても民宿とトントン・・・まあ、ヒルトンが安いというよりも民宿が高すぎるということなのかもしれませんね。
こちらはなにしろ天下のヒルトンですから、設備もサービスもトップクラスです。それが3人で1泊たった14,000円というのですから、驚きです。ひとり14,000円と言われても納得してしまいます。さらに3,000円アップで朝食付きを選ぶことが出来ました。ヒルトンの朝食ならかなり内容が充実しているはずです。それがひとり1000円で食べられるのなら選ばない手はありません。
ホテルにチェックインしました。館内の移動のために車椅子を貸してもらいました。 |
部屋は12階です。目の下はスキー場です。ベッドは3つ並んでいます。 |
テレビはBBCやCNN、中国の放送が入るのに日本語はBSだけで地上波デジタルはなし。 |
スキー場のふもとは夏はフィールドアスレチック場になっています。 |
大浴場の温泉に入ってさっぱりした後は夕食。
ホテルの隣に「ザ・ビレッジ」という飲食店が数軒集まったエリアがありますので、そちらで北海道料理なんぞを楽しみたいと思います。ということで居酒屋風の店を選んでみました。中に入ると結構混雑しています。中国人らしい団体も入っています。
さて注文を、と店の人を呼ぶと来たのは外国人、しかも日本語はあまりわからないみたいです。じゃ英語で、と話しかける間もなく日本人客と分かって日本人の人を呼んできました。まずはつまみを何品か、そして息子は牛丼、女房は豚丼、私は味噌ラーメン(塩ラーメンはなし)も注文しました。このとき、ちょっと嫌な気がしたのですが・・・・心配は的中して一番先に出てきたのは牛丼に豚丼、続いてラーメン、アジフライ、唐揚げの順で出てきました。一番最後に枝豆も来ました。うわお、どうするべ?何はともあれ、先にラーメンを食べないと伸びてしまうんじゃないかい?
ということでラーメンを食べながらお酒を飲み、ザンギもつまんで枝豆にも手を伸ばす、といった変な夕食になりました。外国なら気を付けて一度に注文しないで、後から食べたいものは注文を分けますが、いくら外国人が多いと言ってもここは日本の中の外国というわけでしたか。そういえばヒルトンのスタッフもやけに外国人が多かったな。ま、そんなわけで街中と比べて50%は割高な居酒屋で一瞬でお腹がいっぱいになってしまいましたので、追加の料理も頼まず思ったよりも安く上がったのは確かです。
木々の間から見えるホテル。この地域で一番高い建物です。 |
これが飲食ビレッジの案内図 |
ここは喫茶店&バーでした。 |
ずいぶん閑散としていますね。 |
さて、どこに入ろう? |
最初に丼とラーメンが来て、それからつまみがやってきて、最後が枝豆でした。順番が逆だろ? |
枝豆はそれなりに美味しい。 |
ザンギとタコザンギ。悪いのは味ではなく順番。 |
牛丼です。これが900円。味はOK. |
豚丼です。これも900円。 |
味噌ラーメンも同じく900円。 |
ラーメンが固まってだまになっている。 |
もう、だまだらけのラーメンだよ、これ。 |
お塩を頼んだら、お皿に持ってきました。外国だ! |
ではホテルに帰ってテレビでも見ますか・・・そうそう、ヒルトンのテレビって、BBCやCNN、中国の放送は入るのに日本の地上波デジタルは入らないのです。BSデジタルだけ。やっぱりここは日本じゃなかったのですね。
●第4日目:4月27日(土)
旅行最終日の朝です。今日もパッとしない天気です。 ホテル3階のレストランで朝食をいただきます。窓から羊蹄山が見えますが、惜しいことに雲がかかっています。食事の方はなんと言っても天下のヒルトンですから、ちゃんとしたバイキングスタイルになっています。とはいえ、ほとんどが中国人観光客なのでしょう、子供はキャーキャー走り回り大人はトレーを持ったままうろうろ、なんとも雑然とした雰囲気でした。
ですが、食事はよかったですよ。質もいいし美味しかったです。ホテルで出るソーセージって小麦粉を固めたような不味いものが多いのですが、初めてじゃないでしょうかここまでちゃんとしたソーセージは。ついソーセージをお代わりして、ご飯を2膳も食べてしまいました。う〜食べ過ぎましたよ。
窓の外、正面に羊蹄山が見えます。雲が・・・惜しい! |
例によってたんぱく質ばかりの私の朝食。ベーコンの下にソーセージが2本あって、これが美味しかった。 |
さて、最終行程です。今日は真狩村、喜茂別を経て支笏湖で一休みして千歳に降ります。
朝より少し雲が上がったので、ホテルを出た畑の中から羊蹄山の写真をパチリ。
支笏湖では展望台から写真を撮る予定でしたが、美笛峠あたりから降り出した雨がひどくなり、ザーザー降りになったので支笏湖観光は飛ばして一気に千歳まで行くことにしました。千歳市内は晴れで、レンタカーを返す前にランチを食べようと、調べておいた回転寿司「旬楽」へ行ったのですが11時半の開店時間よりも30分も前でした。支笏湖で休息をとっていればぴったりだったのですけどね。そこで待っているのは時間がもったいないので、もう一軒の人気店「北々亭 千歳店」へ移動。すんなりと席に着くことが出来ましたが、食事を終えて出る時にはさすが人気店ですね、数十人が並んでいました。我々が入ったのは良いタイミングでありました。
「北々亭 千歳店」にて。うん、いい匂い・・・なにか北海道のネタをもらいたいなあ・・・ |
ほら、マス子です。 |
鮭聖というのだそうです。 |
さあ、北海道のお寿司も食べたし、あとは東京に帰るだけです。
ガソリンを25リッター補給してオリックスの事務所に戻り、レンタカーを返却します。送迎バスでターミナルまで送ってもらって、ジェットスターのカウンターへ行き、荷物を預けます。例によってジェットスターの出発ゲートはターミナルビルの一番端なのですが、おや、今回はゲートの真ん前に飛行機が停まっていて、ボーディングブリッジがつながっています。帰りは少し楽をさせてもらえそうですね。
チケットの代わりのスマホ画面。これでゲートを通ります。 |
これが帰りの飛行機です。今回はボーディングブリッジを使えるみたい。 |
前の便は遅れましたが、我々が乘る便は定刻の出発予定です。 |
おや、面白い形の雲ですね。 |
成田に帰ってきました。左奥に見えるのは第2ターミナルです。 |
第2ターミナルが真横ですが、まだこの高さです。3本目の滑走路がいかに遠いかということですね。 |
飛行機からタラップで降りて2階へ上がり、さらにサテライトの4階に上って渡り廊下を渡り、ターミナルビルの1階に降りて手荷物引き取り場に入ります。この間、かなりの時間がかかったので、到着したときにはもう荷物は全部ベルトの上を回っていました。
荷物を引き取って、また2階へ。第2ターミナルへの連絡バスに乗るためにも一度2階に上がらなければいけません。連絡バスを降りたら、こんどは民間駐車場の送迎バスに乗るために24番のバス停へ。ここでしばらく待って駐車場まで乗せてもらい、ようやく自分の車に出会うことが出来ました。やれやれ・・・
荷物を積み込んで、自宅まで最後のドライブです。幸い道路は空いていて、1時間ちょっとで帰宅することが出来ました。
いやあ、LCCの旅、時間と手間はかかりますが、なんと言っても価格は魅力ですね。今度は奄美大島とか台湾とかにチャレンジするのも悪くないかもしれません。
=> Outing Topへ
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