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2010年:葛飾柴又、帝釈天を訪ねる旅

帝釈天で産湯を使い・・・

柴又というと、映画「フーテンの寅さん」で有名な場所です。有名なわりには、都内に住んでいてもなかなか見る機会がありません。とある午後、たまたま京成線に乗る機会があったのでどんなところか訪ねてみることにしました。

柴又駅で降り、改札を抜けると駅前の広場で「寅さん」の銅像が出迎えてくれました。そこからお寺までの参道の両側には土産物屋さんや川魚の食堂、そして名物の草団子屋さんが並んでいます。「寅さん」映画のなかで登場する「とらや」のモデルとなったらしい店もありますね。参道の一番奥に立派な門があって、その左にはかの鐘楼があります。そして正面には帝釈天の釈迦堂があります。

ところでこの柴又帝釈天、正確には経栄山 題経寺という日蓮宗のお寺であるってご存知でしたか?このお寺が開かれたのは江戸時代の1629年だそうです。
そして、ここに来て初めて知ったのですが、帝釈堂内殿の東と北、そして西の壁には法華経説話を題材とした見事な浮き彫り彫刻がはめ込まれているのです。これは法華経に説かれる代表的な10話をもとにしたもので、大正11年(1922年)から昭和9年(1934年)にかけて、加藤寅之助ら10人の彫刻師が1面ずつ分担制作したとのことです。この羽目板の上方には十二支と天人、下方には千羽鶴、さらに通路から下の部分には花鳥と亀を彫ってあるという、大変目出度い構成となっています。これらの彫刻は建物ガラスの壁で覆われており「彫刻ギャラリー」として400円の拝観料(庭園の見学料込み)で見物することが出来ます。


まずは参道を進みます。

ここが帝釈天への入り口です。

これが鐘楼です。

こうしてみるとそれほど大きくはありません。

釈迦堂です。階段を上がって右に行った先に拝観料を払う入り口があります。

この細かな細工をご覧ください。

上には天女が彫られています。

ここには4枚が彫り込まれています。

こちらは東の壁です。


ハイ、右下に注目してください!

なんとも幸せそうな表情ですね。

それにしても見事な彫刻です。

この1枚を彫るのに1年かかったそうです。

これは見学通路の下側です。

上が鳥で下が亀の図案です。

釈迦堂の裏に広がる庭園は「邃渓園(すいけいえん)」と呼ばれ、昭和40年(1965年)に庭師永井楽山の設計によって造られたそうです。庭園へ立ち入ることはできませんが、周囲に設けられた屋根付きの廊下から一周することができます。丁度ツツジが満開でした。園内に張り出した休息所には給茶器があり、無料で飲み物がサービスされています。

本堂裏に位置する大客殿は、入母屋造瓦葺の建築で昭和4年の完成です。庭に面しガラス障子を立て込んだ廊下があり、座敷のうちもっとも奥の「頂経の間」の「南天の床柱」は樹齢約1,500年の直径30センチもある南天の自然木を使用した「日本一の床柱」とています。


庭の西側です。左が休息所。

庭の東方向。左奥に池があります。

ここが庭の中央部です。向こう側に屋寝付きの回廊が見えます。

ツツジが満開でした。

回廊から本堂を見たところです。

松の緑とツツジの赤が綺麗です。

これが日本一の南天の床柱です。

クラシックなシャンデリアが良いですね。

これは横山大観の版下絵だそうです。

短い旅でしたが、思いがけず中身の濃い見物をすることが出来ました。映画には興味の無かった私ですが、このお寺の彫刻を見るだけでも訪れる価値があると思いますよ。

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