200910月12日:両親と祖父母の記念会

プロの手際に感動した日!

札幌の北光教会で両親と祖父母の合同記念会を開催しました。
記念会というのはキリスト教の呼び方で、仏教でいうところの「法事」です。ただ、1周忌、3周忌というようには決まっていなくて、普通は1年とか10年でやるようですが、要は神と共にある故人を偲ぶのに厳格なルールは必要ない、いつでも良いという考えのようです。
父親が亡くなったのが2年前、母親が9年前なのですが、それならばおばあちゃんとおじいちゃんも加えて、4人を一同に偲ぶ会を開いても良いのではないかと考えたのです。親戚も高齢化しているし、もう札幌に実家もないので多分最初で最後になることでしょう。 6月に札幌に出向いて教会の礼拝堂を下見し、牧師さんとおおまかな式の流れを打ち合わせました。その結果、牧師さんが執り行う記念会が30分くらい、そのあとに同じく30分くらい、私がパソコンとプロジェクターで投影して、父母や祖父母の略歴や思い出を紹介するかたちで記念会を行う案が出来上がったのであります。

7年前の母を偲ぶ会では、葬祭場にレンタルのスクリーンを設置し、自前で持ち込んだプロジェクターで投影して、パワーポイントで母の生い立ちを紹介し、ビデオ映像を15分に編集したものを皆さんに見ていただきました。企業のプレゼンならともかく、その頃に法事でプロジェクターと大スクリーンを使うなんて聞いたことがないといわれたものです。今回、会場となる教会には、さすがに時代ですね、プロジェクターもスクリーンも用意がありました。そこでそれを借りることにして、私はパワーポイントで故人の紹介を行い、さらに昔の写真をスキャンしたものを動画風のスライドショーで見ていただくことにしました。

まずは数百枚あるアルバムの古い写真からこれはというのを選び出してスキャナーでスキャンします。それをスライドショーにするにあたってBGMだけではなくズームやパンを効果として使いたかったので、マイクロソフトの「フォトストーリー」を使いました。BGMは私が好きなアラン・パーソンズプロジェクトを選びました。そして何度も尺合わせをして出来上がったのが10分のWMVファイルです。上映するだけならこれをパソコンで再生すれば良いのですが、前述の母親のビデオと一緒にDVDに記録して記念品としてお渡ししようと考えているので、MPEGでオーサリングしなければいけません。これが大変な作業でした!ネットで調べて一通りの変換方法を試したのですが、全部失敗しました。最後に「B's Recorder」で、本来ならWMVは読めないはずなのになぜかうまく処理できて、無事オーサリングが完了です。テスト版を焼いて動作確認してから、30枚複製しました。ディスクラベルも写真のコラージュを作って印刷し、プラケースの背面にも印刷したカバー紙を入れ、綺麗な袋で包装して・・・これで記念品の準備完了となりました。

さて、前日です。
空路千歳空港入りした私達家族は、レンタカーで札幌方向に向かい、北広島インターで降りて全員が眠る里塚霊園にお詣りしました。それから今は無き実家の跡地が相変わらず駐車場になっているのを確認してから菊水にある
カニ屋さんへ。実は父親の大好物が「花咲ガニ」なので、時季はずれではありますが用意できるものならばご出席いただいたお客様にお土産として持ち帰っていただきたいと思ったのです。会食には母の好物の寿司を入れてもらいましたが、さすがにカニは会食では出しにくい、そこで帰宅してから父を偲んでお召し上がりください、というつもりでした。ところが、このカニはシーズンがあって、今の時期には非常に手に入りにくいのです。そこで3週間前にカニ屋さんに電話して必要な数だけ確保してもらいました。その甲斐あって私が訪問した時には生け簀に必要数が揃っていましたので、その日の晩にゆで上げて翌日梱包、お昼に教会に配達してもらう手はずを確認しました。
それからプリンスホテルへ移動して、宴会担当の営業氏と最終の打ち合わせをすませてから教会へ。プロジェクターとスクリーンをセットして、パソコンからの音と映像がちゃんと出ることを確認して、全て下準備は完了です。

当日。朝10時から花屋さんが来て祭壇を飾ってくれました。その結果、スクリーンが花にかかるので下に降ろして祭壇の横に並べることになりました。11時30分、予定どおり、荘重なパイプオルガンの音と共に牧師さんによる記念会がスタートしました。私にとっては祖母の葬儀以来、久し振りに聴くこの教会のオルガンの音でありました。
式次第の最後は全員による献花です。そのあとに私が故人の思い出を語る時間となっています。始めはパワーポイントで故人の略歴を紹介しながら、私なりの想い出をエピソードの形で語らせていただきました。ただ、前の記念会で時間が若干押していますのでなるべく簡潔になるように心がけながら・・・
そして準備に3週間かけたスライドショーの再生です。
やはりスライドショーを作って良かった、そう思いました。一応気を使って参加される方が写っている写真を使うように心がけましたが、思った通り、若き日の自分なり知人なりの姿を見つけて指をさす様子があちらこちらで見受けられたからです。こうした古い写真をきっちりと整理してくれていたのは母でした。その母もまさか、こういう形で写真が皆に公開されるとは夢にも思わなかったことでしょう。


当日午前11時。祭壇が完成しました。

パソコンの準備も完了しました。

参加者による献花の時間です。

この日、お集まりいただいたのは24名です。

故人を紹介するパワーポイントです。

このあとに10分のスライドショーを上映しました。

さて、礼拝堂の式のあとは、教会の集会室をお借りしてお集まりいただいた皆様との会食を開催することにしました。
普通なら仕出し屋さんあたりに頼んで、松花堂弁当みたいなものを召し上がっていただくのですが、遠路、東京からも来てくださるお客さんもいらっしゃるので、もう少しちゃんとした物にしたい・・・かといってそこからレストランなりに移動するのも煩雑になります。そこでケータリングを頼むことを考えました。ところがネットで調べてみても、札幌にあるのは、企業のパーティ向けの洋食専門のケータリング屋さんばかりなのです。来客の年齢層を考えますと、やはり和食がふさわしい・・・ということで、どこか知り合いの小料理屋か居酒屋さんが引き受けてくれないものかとも考えたのですが、なかなか手ごろなところがなくて、最後に行き着いたのが札幌プリンスホテルでした。200人の宴会ならともかく20人や30人でそんな一流のホテルに依頼するのも気が引けたのですが、案ずるに及ばず、快く引き受けていただけました。事前にメールでの打ち合わせをしてから、前日、営業担当氏と時間と全体の流れを再確認し、宜しく御願いしますと御挨拶して・・・さあ当日です。調理師さんとホールスタッフ3人を引き連れて営業氏自ら現場にやってきてくださいました。見る間にテキパキと会議テーブルを並べてリネンを敷き、花を並べお盆を配置してゆきます。一方、厨房には大型冷蔵庫みたいなキャスター付のステンレスの箱がゴロゴロと運び込まれました。後には電気のコードが付いていて、なるほど温蔵庫なのでありました。さらに台車の上には縦横に仕切りのついたプラスチックの食器入れを積み重ねて2台、3台・・・うむむ〜いかにもプロの仕事ですね。瞬く間に、壁際にはドリンクをサービスするテーブルも準備されて、ほぼパーティ会場としての準備が整ったのでありました。


真っ先にテーブルが出来上がりました。

什器の箱が運び込まれました。

隣の配膳室ではすでに料理の準備が進んでいます。

料理長が手際よく盛りつけていきます。

さて、会食が始まります。黒服に蝶ネクタイでびしっと決めたハンサムなウェイターさんが流れるように飲み物の希望をうかがい、サービスし、さらにお料理を配ります。その道のプロですから当然とはいえ、実に動きが洗練されていて見事です。ホストがいちいちお客様のグラスの状態を気にしなくてもちゃんとサービスが行き届いています。こういうところが嬉しいですね。
ところで、会場には自作のアンプ内臓スピーカーを持ち込んで、BGM用として用意したiPodの曲を流しました。そして私が会食の開始の挨拶を始めたところ、一人のウェイターさんがスピーカーのところに行ったかと思うとすっと音を下げてくれたのです。自作のものゆえ、ボリュウムはスピーカーの裏側にあって「音量」などと表示はしていなかったのですが・・・もちろん、事前の打ち合わせなんかしていませんでした。こういう気配りが出来るところも、さすが・・・一流ホテルのプロたるゆえんではありませんか。



まずはお客様にお飲物をうかがいます。

テーブルには既に前菜が用意されていました。

車エビから時計回りに鴨土佐蒸し、焼きタラバウニ乗せ、菊菜、ツブ、金時イモ、熨斗。

吸い物は湯葉しんじょ、お造りはマツカワ、ホッキ、マグロ、子持昆布、ボタンエビです・

う〜む、キンキのゆうあん焼きが絶品です!誰しも絶賛の味でした。

スライドショーのDVDをお持ち帰り願います。

ちゃんとバーコーナーもできています。

煮物の繊細な味に脱帽・・

ユリ根饅頭、中には鶏肉が入っています。

皆さん、楽しんでいただいているようです。

和やかな、いい感じですね。

ホタテと小松菜のお浸しです。

これがかのお寿司です。赤出汁の美味しいこと!
サンマの棒寿司には工夫があります。これは嬉しい驚きでした。

お料理はまさに見事の一語に尽きました。
もちろん、事前に献立についてはメールで打ち合わせをしていて、こちらの希望も伝えてあったのです。例えば、(生意気にも)お造りの白身としての「タイ」はありふれているので、北海道でやるのだからホッケとはいかなくても「ソイ」か日本海の「ヒラメ」はどうだろうかとか、ゆうあん焼きは、私の一族は甘め辛めの味に慣れているから少し濃い目にお願いしたいとか(せっかくの料理長の自慢の味に「おーい、ニイチャン、醤油くれ」となっては失礼ですからね)・・・はては寿司ネタのうちのカンパチは東京では珍しくなくちょっと格が下がるので、どうせなら季節のサンマを使うとか、母が好きだったイクラとマグロは入れていただきたい・・それならいっそのこと全部味付きにして醤油小皿を省略してはどうか(これは船の宴会では場所をとる上こぼれたら大変、その上荷物とゴミが増えるので醤油小皿は使わずに刺身は味付けにしてしまうので、それと同じ発想です)など・・・思えば一流のプロ相手に言いたい放題を言ってしまったのですが、料理長はそれを見事に受け止めてくださったようです。
当日のメニューを見ると、かの白身は、なんとマツカワに変わっていました。「幻のカレイ」とか「カレイの王様」と言われる魚です。私も何年か前に岩手の料理屋で写真を見ただけで、まだ食べたことはありませんでした!!しっかりとした噛みごたえとヒラメとは違う甘みの広がり・・いやあすばらしかったです。
そして、キンキのゆうあん焼きは・・これはもう全員がうなったくらい、見事な味でした。本来薄味の魚に使うゆうあん地ですが、脂の強いキンキに負けていません。さらに、サンマの棒寿司にいたっては・・普通の箱寿司ではなく、間にシソをはさみ、さらシャリの下から山形にゴマを差し込んで巻き簾で締めてあるのですよ。うむむ〜やられました。私はこれまで箱型で作っていたのですが、巻く方がさらにサンマの味が活きますねぇ、脱帽です。いやぁ料理長、生意気なことを言って、失礼いたしました!!

会場の準備からサービスそして料理・・・何から何まで、さすがは一流ホテルのプロの手並みをみせていただきました。感動を覚えました。
そして、それがはるばるお集まりいただいたお客様にご満足いただけたことは間違いありません。ほぼ、1年に渡ってどういう風に開こうかと悩んでいたこの記念会ですが、札幌プリンスホテルのプロフェッショナルの方々のおかげで非常にレベルの高い会ができたと思います。
皆様、有り難うございました。

 

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