2013年6月7-8日 今回の旅行は、例によって阪急交通社のツアーでみちのくの名所をあちらこちら回ろうという、題して「さわやか十和田、奥入瀬、日本三景松島、世界遺産中尊寺2日間」。新幹線とバスの組み合わせで、しかも添乗員が同行するというので、のんびりと言いなりになっていればいいわけです。今回のハイライトのなかでは、十和田と奥入瀬はたしか幼稚園のときに両親と行っているんじゃないかと思います。そして中尊寺と松島は初めてのはずです。 さて、ツアーの開始は東京駅の日本橋口に朝7時に集合です。自宅を6時半に出て、タクシーで向かいました。受付を済ませて、団体入場口からぞろぞろと添乗員に案内されて東北新幹線のホームに上がります。乗るのは7時44分発やまびこ205号仙台行きです。あれ?やまびこって各駅停車じゃないのか、と思ったら下車駅は仙台ではなくて新白河なんですね。1時間半ほどで新白河に到着して、駅前の観光バス3台に分乗します。そして向かうのは最初の観光地である平泉の中尊寺金色堂。東北自動車道に乗って北上します。ん?地図を見てびっくり!中尊寺って岩手県ですよ。つまり、これからバスで福島県と宮城県を縦断するわけで、よく見ると中尊寺までの距離の半分も新幹線を使っていないのです。せめて仙台くらいまで新幹線使ってもいいんじゃないの?(左下の地図をご覧ください)こりゃあわざとJRの料金を最低限にして、あとは地方都市の安い観光バスと契約してコストカットしているわけですな。 さて、バスでユサユサ3時間走って12時40分に中尊寺に到着です。最初に見るのは金色堂。金色に輝くお堂が緑の間にキラリと見える・・・と期待したのですが「金色堂」の標識の向こうにあるのは地味ぃ〜な建物。これは覆堂というカバーなのでありました。本物はその中にしっかりと置いてありましたが、確かにミニ金閣寺というところです。境内には資料館や様々なお堂、本堂がありましてさすがは天台宗の東北の総本山であるということがよくわかります。 昼食を終えたらまたバスに乗って北上です。次の目的地は七滝だそうですが・・・どこにあるの? iPhonでグーグルマップを呼び出し、ルートを拡大してようやく見つけました。距離にして180キロくらい、東北道小坂インターから十和田湖に向かう樹海ラインの途中の道の駅にある超マイナーな滝です。さて、到着してみて七滝とは滝が七つあるのではなく、7段になって落ちてくる滝なのだそうですが・・どこにでもあるちょっとした滝にしか見えず、3段くらいしかわかりませんでした。そして次は発荷峠です。夕方なのでちょっとかすんでいますが一応眼下には十和田湖が見えます。 6時、宿泊するホテル十和田荘に到着しました。夕食は宴会場で6時45分からだそうです。1時間ないんですよ、早いなあ。真っ先にフロントで鍵をもらい、部屋に入ってすぐお風呂に行きました。そして夕食。む、刺身がイカとサーモンですよ、これは冷凍モンですな。それに100円回転寿しレベルの寿司が2貫と、鍋にはぺらっとした牛肉が1枚のすき焼き。アルミフォイルの中のきりたんぽとたくあんのいぶりがっこがかろうじてローカル色を出しています。夕食には追加料理でポークソテーか青森シャモロック串焼き、十和田湖ヒメマスの塩焼きがそれぞれ1000円で選べるのですが、私はヒメマスを注文しました。子供のころ、父親と支笏湖にヒメマス(北海道ではチップと呼びます)釣りに行っていましたので、ヒメマスの塩焼きは大好きなのです。焼き魚が追加されたことでようやく旅館の食事っぽくなりましたね。
6月8日(土) 十和田の朝です。窓から外を見るとうっすらともやがかかっています。夜半に気温が下がって霧が出たのでしょう。朝風呂に入って、冷蔵庫からビールを取り出します。朝風呂に朝ビー、自分で運転しないのでこういう時はツアーもいいナと思う瞬間です。さて、朝食に行きましょう。例によってバイキングスタイルです。玉子焼き、鮭の塩焼き、漬物、ソーセージ・・これはどこでも見かけるおかずですね。え、焼きそば?結構人気があって皆さん取っていますね。どれ、食べてみましょう。でもって安全のために玉子と納豆ももらっておきましょう。しっかりと白くなるまでかき混ぜた納豆に生卵を落として、さらにふわふわになるまでかき混ぜた玉子納豆が大好きなんです、ワタシ。 朝食を終えて精算を済ませ、バスに乗ります。8時、ホテル出発。最初に奥入瀬に行きます。だんだん青空が広がっていい天気になってきました。新緑の木漏れ日の中を、水音を聴きながら歩くのはさぞ気分がいいことでしょう。途中でいくつもの滝があるのですが、バスの窓からちょっと見えるだけ。写真を撮ろうにも走りながらではぶれてうまく写りません。バスはどんどん下って行きます。奥入瀬渓流は長さ14キロメートル、全部歩くと4時間くらいかかるそうですが、スケジュール表によると、「散策」の時間はわずか40分。どこかハイライトのコースを歩かせてくれるのだろうと期待していると・・・「皆様、お待たせしました。(ヨシ、来たぞ!)まもなく石ヶ戸(いしげど)に到着します。ここでバスを降りて遊歩道を歩いていただきます。(うんうん、そうだろう♪)お歩きにならない方はそのままバスにお残りください。バスは石ヶ戸に回送して皆様をお待ちします。(ん?石ヶ戸で降りて歩いて?バスは石ヶ戸に行って待ってるって、どうゆうこと?遊歩道を往復するのかな?)はい、到着です。こちらでお降りください。(わけわかんないけど、まあいいか)」さわやかな空気の中を歩きだしました。左には渓流がありますが、ゆったりとした流れです。写真を撮りながら歩いて行くうちに岩が表れて流れが急になり、渓流っぽくなってきました。それにしてもガイドさん、結構速いペースです。写真を撮っているとどんどん遅れてしまいます。まだ歩き出したばかりで先は長いですから置いて行かれないようにと急ぐと、前方にガイドさんが立って待っています。「ここが石ヶ戸といいまして、その昔この石の下に盗賊が隠れ住んだという・・・」という解説をしてくれます。ふむふむ。「はい、お疲れ様でした。上にトイレと休息所、売店があります。食堂のアイスクリームとコーヒーが美味しいとの評判です。バスは30分後に出発します。」えええええぇ〜これだけぇ?歩いたのはものの10分、1キロくらいでしょうか。東京から700キロ、しかもその2/3はバスでゴトゴト走ってきて、新緑の奥入瀬を歩くのはたったの10分?で、そのあとは30分休息所でアイス食ってろとは、なんという人をバカにしたプランでしょう。こんな企画にオーケーを出した阪急の責任者、出てこい! 後ろ髪を引かれる思いでバスに戻り、走った先は十和田湖畔の・・・なに?土産物屋?確かに土産物屋の玄関にバスは着いたのですが、そのまま店内を通り抜けると目の前に湖が広がっています。ふん、ミエミエの小細工しやがって・・帰りにこの土産物屋で買い物をさせようという旅行社と土産物屋のタイアップとおりゃんせ作戦ですな。(まだフンガーの気持ちがおさまっていません)それはともかく、これはいい景色です。湖の向こう側は霧に隠れていますが、空は青空です。そして十和田湖と言えばご存知高村光太郎の乙女の像。記念写真を撮ってから森の中を進むとシワシワシワ〜とセミの声。え?セミ?6月なのに?後で聞いてみたら、エドはるみ・・じゃなかった、エゾ春ゼミという春に鳴くセミなのだそうです。まるでヒグラシのような鳴き声ですね。エゾと付くからには北海道にもいるのでしょうが、私は知りませんでしたよ。十和田神社から湖畔に戻るとすっかり霧が晴れて対岸が見えました。おかげさまで少しばかりいい気分になって先ほどの土産物屋を素早く通り抜け、バスに戻りました。
今回のツアーには昼食は一切含まれていなくて、オプションとしてあらかじめ注文できる料理がここではわっぱ飯だそうです。わっぱ飯って要は炊き込みご飯でしょう?「秋田名物〜大館曲げワッパ〜♪」は知っていますけれどもいま一つ気が乗らない。でも、ほかにレストランがあるのかメニューがどうなのかの情報が何もなかったので食べ損ねてはいけないと思い、仕方なく二人分を注文しておきました。11時半、お昼には少し早いですが到着してみると、2階の団体客用のホールにはすっかり支度が出来ているのは当然として、1階の個人用食堂には比内地鶏ラーメンや親子丼、稲庭うどんなど魅力的な秋田の味覚が並んでいるではありませんか。うぇ〜ん、こっちの方がよかったよ〜と心で泣きながらわっぱ飯をもそもそといただいたのでありました。そりゃまあ、100人からの客が一度にラーメンだ親子丼だと勝手に注文したりしたら厨房は大騒ぎ、それよりも朝からテーブルに並べておいて、バス到着10分前の連絡がきたらサササっと固形燃料に火を付ければ客が入ってきたときには湯気が上がっているわっぱ飯のほうが作る方としてはよっぽど楽だべさ。だから「個人で食べると間に合わない恐れがあります」とか言っちゃって、なるべくわっぱ飯を注文するように誘導したんだな。こうして見事にツアー会社とレストラン側の共同謀議にはまってしまった私たちなのでありました。事前注文が悪いというのではなく、せめて夫婦で違うものを注文できるように2-3種類を選べるとよいのですけどねぇ。まあ、そうすると万一一品でも注文を間違えたりしたら、てんやわんやの大混乱になりますものね。店としては1種類にして欲しいのはわかりますけど。 「比内地鶏の親子、食べたかったなあ」「稲庭うどんがおいしそうだったわね」そんなことをぶつぶつと未練がましくつぶやきながら物産品のコーナーで見つけたのが、テレビで紹介されて以来秋田の名物になったバター餅です。薄黄色のお餅が6種類、それぞれXXさんのおばあちゃんが作ったというラベルが貼られて売っているではありませんか。それぞれ作る人によって味が違うらしいので、私はなかでもリンゴジュース入りというのを買ってみました。比内鶏の親子は食べられませんでしたが、バター餅のおかげで秋田に来た気分になりました。 さあ、このあとは一気に南下すること3時間半、最後の観光地松島に向かいます。南下するにつれて天気が悪くなってきて、ついには雨が降り出しました。市街へ向かう一般道は渋滞して時間がどんどん過ぎていきます。止む無くバスは予定を変更して直接船着き場に停車して、遊覧船に乗る客がどっと降りてそのまま船に乗り込むと同時に船は出発というあわただしい状態になりました。雨はますます強くなり、島影が煙るときもありましたが、30分という短い間にも空はどんどん明るくなって港に着くときには虹も出てきました。船が着岸した時はバスの出発まで15分しかありません。私はここで牛タンの弁当を買うつもりなのです。あらかじめ車中でネットで調べたところ、「利休」の支店が桟橋のすぐ近くにあったのです。走って行って厚切り牛タンの「極」定食の持ち帰りを頼み、急いでバスの集合場所に戻りました。
というわけで、5時に松島を出て2時間半後の午後7時半、バスは出発した新白河駅に戻ってきました。 今回のツアー代金はひとり20、000円に保険が1000円。そしてオプションは、中尊寺拝観料800円、昼食1000円、夕食のヒメマス1000円、鹿角の昼食ワッパ飯1000円、遊覧船乗船料1000円、夕食の牛メシ1000円でした。つまりツアー代金は2万円と一見安く見えますが、実際にはバスの移動がきわめて長く、旅館の食事も祖末、その上ツアーの目的である場所の見学費用もすべてオプション扱いで有料という、かなりレベルの低いものでした。阪急トラピックスのツアーはこれまでに何度も利用していますが、今回のはその中でも最悪のツアーであったと言えましょう。ツアー会社の名前だけで安心せずに細かく内容をチェックしないといけないという教訓でした。 終わり |
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