*電源が入るとダメ?「フードプロセッサーの修理」
2021年6月:
ネットオークションでフードプロセッサーを落札しました。私がいまソーセージ作りにはまっていることは、友人の皆さんはご存知でしょう。
その私が困っていることがありまして、それはひき肉を細かくして氷と混ぜてエマルジョンというソーセージの生地を作るためにフードプロセッサーを使います。このフードプロセッサー、かの和食の神様と言われる道場六三郎氏の監修によるものですが、あくまでも和食を作る上での監修であって、ソーセージ作りを念頭に置いたものではありません。それでも回転を自由に変えられる利点があるのですが、欠点は容量が0.5リッターと小さいことです。つまり、一回にひき肉にすると500グラムが処理限度ということです。
私は大体いつも1,2キロくらいのひき肉で作りますので、そうすると400グラムずつ3回に分けてフードプロセッサーにかけなくてはなりません。これが結構手間と時間がかかるので、なんとか一度でできるそういうフードプロセッサーはないのか、と探しておりました。
はい、業務用のフードプロセッサーなら3リッター以上の大容量があります。でも、お値段が10万円から15万円なので、素人の趣味用にはちょっと無理です。では中古品はないか?真っ先に探したe-Bayにはたくさんあったのですが、日本には送ってくれません。それでヤフーのオークションを探して、ついに見つけました。業務用というとクイジナートがあげられますが、やはり知名度があるだけ人気も値段も高い。そこで同じフランス製のロボクープに目を付けたのです。そして無事格安の商品を落札して品物が送られて来たというわけです。
早速荷物を開梱してみます。
透明プラスチック製のボウルやカバーは紙の箱に入っています。本体はしっかりしたプチプチに包まれていますね。おや、本体の外側のケースの下が割れています。小指半分ほどの破片が中に落ちていました。触ってみると下敷きよりも薄いペラペラの板です。重量7Kgもある強力なモーターを格納するにしてはやけに薄っぺらいケースです。まあ、これは瞬間接着剤でくっつくので、直しておきましょう。では、動かしてみましょうか。安全のために回転刃は取り付けないで、モーターだけ回してみます。コンセントに差し込んで、本体だけではスイッチを入れても回らないはず・・・・あれれ、パルス(チョイ回し)でも普通のオンでもモーターが回りますね。これはおかしい。なぜならば、フードプロセッサーは鋭い刃を高速で回すので、刃が露出している状態では絶対にモーターが動かないようになっているのです。ボウルに刃をセットしてカバーをかけたときに初めてモーターが回る、そういう安全機構が組み込まれているのです。
ところが、そうなっていないということは「故障」です。オークションの出品者は、この商品の説明で「電源を入れて動く事のみ確認、実際に使用してのテストはしていない」と書いてあります。それはそうでしょう、普通の電気製品は動けば正常なのですから。ところがフードプロセッサーの場合は何もせずに動いたら「安全装置の故障」で不具合品なのです。これは一種の盲点ですね。出品者が正常な動作品と勘違いしたとしても責められません。さて、それはそれとしてこの商品の安全装置はどうなっているのでしょうか?
スイッチがオンになったまま引っかかっているなんて簡単なことではないでしょうね。何はともあれ開けてみましょう。ところでこの商品、結構古びていて底板など擦り傷が多い・・・じゃあ中もかなり汚れていそうです。この際徹底的に掃除しましょう。お、脚のゴムが無くなって、素人が切った板ゴムを接着剤で張り付けてあります。これをはがさないと固定ネジにアクセスできませんね。はい、開きました。
う~む、やはり内部の壁とモーターが脂でかなり汚れています。それに、ボウルの蓋をしないと電源が入らない安全装置があるのですが、それが壊れたのでしょう、本体内にぶら下がったままになっています。そのうえ、そのままでは電源が入らないので改造してネジで押し付けてスイッチを常時オン状態にしてあります。ずいぶん荒っぽいやり方をしています。つまり前の所有者は、壊れてもちゃんと修理をしないで、危険を承知で安全装置をバイパスして使っていたのですね。さて、では掃除掃除にかかりましょう。
残念ながらモーターを外側から固定しているネジのメクラブタが外せないので、スイッチ類をビニール袋に入れて防水し、モーターに水をかけないように注意しながら洗剤を付けたスポンジで洗い落とします。これを太陽光で乾かして、裏蓋は傷だらけなので塗装し直すことにします。
乾いたので再び組み立てました。安全スイッチは新品を取り寄せることが出来れば交換しますし、もし部品が手に入らなければ、無くなったパーツを3Dプリンターで作って再生出来ると思います。配線がごちゃごちゃと絡まっているのでそれもやり直しておきます。
さて、ここでロボクープ製品の輸入代理店に部品供給が可能か問い合わせてみましょう。代理店は株式会社エフ・エム・アイで、会社のホームページから質問したところすぐに返事が来て、在庫があって供給可能であることがわかりましたので発注しました。
この状況は出品者にも知らせておいた方がいいですね。出品者は個人ではなく商社でした。個人なら改造したのは本人でしょうが、商社なら中古として購入したものを改造品とは知らずに出品している可能性があります。出品者の株式会社モンドプラスにメールを送ってみたところ、すぐに連絡があって「気が付かずに出品したことは申し訳ない。返品返金に応じる。もし使用するなら元に戻すための費用を負担させてほしい」という、大変良心的な回答をいただきました。素晴らしい!何とも誠実な対応ではありませんか。
問題の安全装置はこれ(マル印)。ケースの隅が割れて破片が落ちていました。(矢印) |
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ネジでスイッチを押しこんで固定しています。 |
モーターの軸受けは脂まみれでカビ発生。 |
ケースと底板を洗剤で洗って乾燥中です。 |
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洗浄前のケース内部(左)と洗浄後のケース(右)。 |
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掃除をする前のモーターとパーツクリーナーで拭いた後です。 |
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底板には無数の擦り傷がありました。 |
薄いクリーム色で塗装しました。 |
6月1日に株式会社エフ・エム・アイに部品を発注しました。発注書をパソコンで作成してPDF をメールで送ったのですが、先方に届かないというトラブルがありましたがともかく4日(金)の昼前に部品が到着しました。部品自体は2000円ちょっとですが、送料と代引手数料が入って3500円ほどになりました。
それにしても、ちょっとの努力で修理できるのに無理な改造をして売るなんて困った人がいるものです。その一方、扱った商品には責任をもって対応して、部品代まで負担しましょうという岐阜のモンドプラスさんは誠実でした。オークションの出品者はすべからくこうあってほしいものです。
部品は代引きで到着しました。 |
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家は折れた部品を接着剤で補修したもの。下は新品の補修部品。 |
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本来はボウルとカバーをセットすると、白い伝達ピンがスイッチの黒い頭を押して電気が通じます。 |
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カバーがこの位置に来るとこの部分のロッドが押し下げられます。 |
最後に今使っているフードプロセッサーと一緒に並べてみました。
さすがに大きいなあ・・・これなら2キロくらいのひき肉を一気に処理できますね。うふふ、これを使うのが楽しみです。
・・・・が、どこに仕舞っておこう?
左が今使っている道場モデル。ボウルは0.5リッターに対し3リッターもあります。 |
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こうしてみるとロボクープ製品のボウルはバケツみたいに見えますね。 |