*電気が入りません「エアコンの修理」
2014年9月:
いままでリビングで使っていたエアコンをゴールデンウィークに別の場所に移設しました。
移設自体は難しい作業ではありません。室外機の高圧側バルブを閉めて強制冷房運転をして冷媒を室外機に吸い込ませたらバルブを閉めて電源を落とす。あとは物理的にパイプを取り外すだけです。そんな風に取り付けも終わり試運転もして、いざ梅雨の季節に本格的に使用しようとしたら、いつのまにか動かなくなっていました。リモコンにも反応せず、強制運転にしても電源が入らない。これはどう見てもコントロール基板の不良ですね。
カバーをはずし、どこかにリセットボタンみたいなのはないか探しますが・・なさそうです。となると基板を取り出して調べるしかありませんね。あまり馴染みがない種類の製品なので分解の仕方が良くわかりません。あっちこっちのネジをはずして、ようやくコントロール基板を取り出しました。
あいにく配線図がないので順に回路を追っていきます。100ボルトがこっちから入ってきて・・・整流して140ボルトになってここに入る・・・この四角いブロックはスイッチング電源でありまして、反対側の電圧はというと・・・あれ、電圧が出てきません。ここに12ボルトのリレーがあって、電源回路のコンデンサーが25ボルト耐圧ということは、この回路の電源は12ボルトであると考えられます。ほかにロジックIC用に5ボルトもありました。
ということは代わりに12ボルトの電源を用意して、直接基板の電源につなげば動くかもしれませんよ。5ボルトは3端子のICがありますから12ボルトから作るようにすればいいのです。早速、手元にあったACアダプターから12ボルトを供給してディスプレイを接続して
リモコンの電源ボタンを押すと・・・・「ピッ」と音がしてディスプレイに表示が出たではありませんか。おし、これでスイッチング電源モジュールの不具合で、ほかの回路はオーケーだと断定できました。ということなら、このままACアダプターを脇にくっつけてしまえば、見た目は不恰好でも普通に運転できるのじゃない?
室内機を外して降ろし、カバーをとってコントロール基板をむき出しにします。 |
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コントロール基板を取り出しました。 |
回路に電源が供給されていないようです。 |
この赤いブロックがスイッチング電源です。 |
どうやらパワーMOS-FETが飛んでいるようです。 |
12VのDC電源を接続して外部から電源を供給してみます。 |
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3端子ICで12Vから5Vの電源も作って供給します。 |
ちゃんと表示が出て回路が正常に作動します。 |
コントロール基板をエアコンに取り付けて、これで一件落着かと思ったのですが・・・ |
だめでした。ちゃんとコンプレッサーも動いて熱交換器は冷たくなるのですが、ファンが回らないので冷風が出ません。室内機の送風ファンのハーネスをたどってみると、同じ基板から電源を取っていて、ファンモーターの定格電圧が44ボルトなのです。つまりスイッチング電源モジュールは12ボルトと5ボルトのほかに44ボルトも同時に供給していたのです。う〜ん44ボルトを他の電源で置き換えるのは難しいですねえ。
で、そのスイッチング電源モジュールはどこが悪いのか?
さらに分解してみると、2SK2453というパワーMOSFETが飛んでいるみたい。とりあえずこのFETを交換してみましょうか。ということで、秋葉原でFETを買ってきて交換したのですが、電源モジュールは直りませんでした。
さてどうしよう?
コントロール回路の12ボルト、それにタイマーや設定メモリ用の5ボルトはいくらでも汎用の電源があるのですが、ファンモーター用の40ボルトが難しいですねえ。デスクトップパソコンの電源は12ボルトと5ボルトとあとは24ボルト、これをいじって40ボルトにするか・・・それとも原始的ですがトランスで40ボルトを作って、それから12ボルト電源とさらに5ボルトを作り出しますか・・・。
結局、手元にあったトランスがたまたまAC28ボルトだったので、それを使えばDC40ボルトが得られます。さらにそれを12ボルトと5ボルトに落とす回路を組み合わせて、ようやく代替電源が出来ました。
さあ、後はこのコンロトール基板を組み付けるだけで修理が完了するはずです。
組み付け終わって100ボルトのコンセントを差し込んでみました。ディスプレイの画素がスッと動いたのがわかります。ここでリモコンを操作すると『ピッ」と音がしてディスプレイに表示が出ました。ここまでは以前にも成功しています。問題は送風ファンです。どうかな?続いて室外機の運転が始まり、カチッという小さな音とともに室内機の送風ファンが回りだしました。やりました!
これが「外部電源」です。A:トランス、B:オリジナルのスイッチング電源、 C:12ボルトDC-DCコンバーター、そしてD:5V安定化電源ICです。 |
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右がオリジナルの電源。 このサイズで3種類の電圧を供給していました。 |
代わりに基板上の40ボルトから12ボルトを 作り出すDC-DCコンバーターを搭載しました。 |
基板の裏に5ボルトの電源ICをハンダ付けしました。 |
タイマーや記憶のためなので電流はわずかです。 |
上の青色の帯が手持ちのトランスです。これだけ基板の外に置かれます。 |
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ここにトランスを入れるスペースがあるかな。 |
コントロール基板をケースに収納します。 |
これで室内機に組み込む用意ができました。 |
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100ボルトにつないでみました。 |
リモコンに反応して表示が出、冷風も出てきました。 |
もとのようにカバーをかぶせました。トランスはカバーの上に置いてあります。 |
結構長くかかりましたが、修理は完了しました。エアコンはどんどん省エネタイプが出てきますので、古い機種を修理して使うのはあまり良いことではありませんが、原因を調べて解決方法を見つけるというのは、それはそれで面白いものであります。