あれこれ修理 <My repair experience>

*片方の音が出なくなった「AVアンプの修理」

2021年9月:

今回は、ヤマハのAVアンプのヘッドホーンジャック内の異物の取り出しと、右チャンネルの音量が時々小さくなる不具合を修理します。

このアンプで一日中インターネットラジオをBGMとして聴いているのですが、しばらく前から右のスピーカーの音がかすれたり小さくなったりするようになりました。そういう時はガッと大きな音を一瞬入れてやると直ります。

こういう不具合が起きるのは、スピーカーに至るスイッチ類の接触不良だったり、アンプの音声回路のコンデンサーの不良が原因です。
かつては古いタンノイクラシックモニターのネットワークの接触不良を疑ってネットワークのオーバーホールをしたこともあります。その時は問題が解決したように思えるのですが、ふと気が付くと再発しているのです。
その後、スピーカーから出ている音は片方が小さくてもヘッドホンで聴くと左右同じことに気が付いて、不具合はアンプ回路ではなくスピーカーリレーの接点の接触不良ではないかと見当をつけました。
不具合が起きた時にヘッドホーンジャックにヘッドホンを差し込むと、カチッと音がしてリレーが働きスピーカーから音が出なくなります。それを2、3回カチカチさせると接触が回復するのか音が出るようになることがあるのです。
こうやってだましだまし使ってきたのですが、あるときついに事件発生です。いつものようにヘッドホーンジャックにプラグを差し込んで引き抜こうとしたときに、なんとジャックが途中で折れて先端の玉になった部分がジャックの奥に残ったままになってしまったのです。
当然、出力はヘッドホーンに切り替わってしまっているので、スピーカーから音は出ない状態になっています。これは困りました。

そこで、アンプを分解して残っている先端を取り出すことにしました。アンプを分解するためには、裏の配線を全部外してアンプをラックから引き出さなくてはなりません。重いラックを動かし、アンプにつながっている配線を全部外してからアンプを前に引っぱり出します。スピーカー端子の接続は最近バナナプラグに変更したので、接続と切り離しがとても楽になりました。
アンプが出ましたのでトップのカバーを外し、次にフロントパネルを固定しているネジを外します。フロントパネルを取り外すとすぐにヘッドホーンジャックが見えました。ヘッドホーンジャックは小さな基盤にはんだ付けされています。そしてジャックの一番奥にあたる部分に樹脂のカバーがかかっていて、それを外してやると内部にアクセスできます。外からプラスドライバーを押し込んでやったら、プラグの先端部がポロリと飛び出てきました。カバーを戻して、異物の除去は完了しました。


これがヘッドホーンジャックです。ヘッドホーン使用状態になってしまい、音が出ません。

これが先端が取れたプラグアダプター。

取り出したプラグの先端部分。

トップカバーを外しました。ヘッドホーンジャックはネジ1本でフロントシャーシに固定されています。

黒い部分がヘッドホーンジャック。コの字型のプラスチックカバーを外したら、先端が出てきました。

さて、せっかくアンプを開けたのですから、スピーカーリレーの接点のクリーニングもやってしまいましょう。アンプ基板を引き出して基板の上にはんだ付けされているリレーを外します。

取り出したリレーのカバーを開けて接点を見ると、うーん結構酸化していますね。1000番のサンドペーパーで接点を磨いてパーツクリーナーで洗浄して乾燥させて再びはんだ付けします。基板上にはほかにも同じリレーが2個乗っていますので、ついでにそれも外して同様にクリーニングしておきます。
基板を元に戻して、配線をつないで電源を入れて音が出ることを確認します。大丈夫ですね、ではトップカバーを戻しましょう。

さて、次はチューナーやDVDプレーヤーなどとの配線を元に戻します。

アンプの修理は簡単ですが、この原状復帰作業が一番大変ですね。まずは光デジタルのケーブルから。次は映像ケーブル、そして音声ケーブルを順に接続して、最後がスピーカーケーブルです。サラウンド8チャンネルシステムなので、フロントで5系統、リアで3系統のスピーカーがあります。それぞれ音を出して位置を確認しながら順にひとつずつつないでいきます。


基板のはんだを吸い取ってリレーを外します。

リレーが外れました。

リレーを分解しました。接点が酸化して黒くなっています。

ラックの裏側でアンプとDVDプレーヤー、インターネットチューナーなどと接続します。

ふう、終わった。

最後に重いラックを押し戻して、作業完了です。これで、当分は音楽も映画もいい音で楽しめることでしょう。

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