*雑音がひどい「ギターアンプの修理」
2017年4月:
今回はフェンダーのギターアンプの雑音がひどくて使えないというトラブルで、友人から修理を依頼されたものです。フロントパネルの電源スイッチを入れると、ボリュウムに関係なくザーっという雑音がかなりのレベルでスピーカーから出てきます。どうやらパワーアンプの手前のドライバーのトランジスター不良かはんだ抜けのようです。
早速リアカバーを外してみます。
ラベルにはご丁寧にも「カバーを開けるな。素人に交換や修理はできないもんね。」というご注意がありますが、なんのその。私、さっさと開けちゃうもんね。基板を引き出してみると、なるほど、これはわかりやすい。部品がゆったりと配置されているので、配線図がなくても回路を追うことができます。
まず、左上かどの黒く四角いのがギターからのケーブルを差し込むジャックです。ここから始まって、そのすぐ下の緑の飴みたいコンデンサーの横にある小さい黒い四角が最初の増幅用ICです。その右上と右下にも同じようなICがありますが、これはギターの音をファズというわざと歪ませて濁った音にする効果を加える働きをします。上に4つ並ぶ、丸くてぎざぎざの棒が付いたものはボリュームで、左の二つでファズの程度と音質を調整します。あとの二つのボリュームのうち、左側は音量を調整します。そして右側はトーンコントロールです。すぐ下にるICと緑の飴形コンデンサーが二つあるので、それとわかります。下の黒と白の線の束は、スピーカーを鳴らすためのパワーアンプにつながっています。黒はアースで、あとは電源とスピーカー出力と入力です。つまり、このアンプでは左上のジャックに入った信号はいったん増幅されてから右に行って効果音を加えられ、さらに右で音量を調整してトーンコントロールを経てから下に下がってスピーカーを駆動するまで増幅されるようになっています。ちなみに右側の切り欠きのところの大きな丸い筒2個があるところ、赤黒の線が来ていますが、そこが電源です。
さて、今回の問題はボリュウムの後からパワーアンプの入り口の間に発生しています。音が出ないとなると、電源から順に調べるところですが、ボリュウムに関係なくノイズが出っぱなしなので、電源もパワーアンプもOKです。ですのでボリュウム以降の回路だけを調べればいいのです。
そして、基板を外してひねってみたらノイズが消えましたから、原因は基板上にはんだ付けされている部品と基板との間のはんだ不良、つまりイモはんだと考えていいでしょう。はんだ付けがちゃんとできていないので部品と基板の間のはんだが接触不良になっているのでしょう。もうひとつは、トランジスターの不良で、トランジスター自体がノイズを出している場合もあるのですが、この場合は断続的にノイズが出るのが普通です。
ということで、まずはボリュウムからパワーアンプまでの回路のはんだ付けをやり直してみることにします。
![]() 修理で持ち込まれたフェンダーのギターアンプです。 |
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![]() 「カバーを外すな、素人に修理交換できる部品はないのだぞ」と断言されちゃいましたよ。 |
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![]() でも、おかまいなくさっさとカバーを外しちゃったもんね。 |
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![]() エレキギターがないのでiPhoneをつないで音を出してみます。 |
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![]() これが基板です。ディスクリートでわかりやすく、修理もしやすい基板です。 |
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![]() はんだ付けをやり直しました。。 |
![]() 修理完了です。 |
はんだ付けのやり直しで、雑音はなくなり正常に音が出るようになりました。しかし部品を詳細に見た結果、FETというトランジスターの脚が酸化していましたので、念のためこのFETも手持ちの部品と交換をしておきましょう。
さて、この後基板を元に戻して最終的に正常に音が出ることを確認して修理完了です。今回は比較的簡単に修理ができてよかったですね。