*シンプルで美味しい「絶望のパスタ」
そばでいうとかけそば、もりそばでしょうか、要は具らしいものはなくニンニクとパセリだけのパスタですが、しみじみと麺の美味しさを味わうことの出来る一品です。
もですから、ぜひ美味しいパスタを使ってください。私の家ではいつもバリラ(BARILLA)社のNo.3を使用しています。太さは1.3mm位で、スパゲティより細いスパゲティーニと言われるものです。これ以上太いと美味しさも半減します。
この名前ですが、イタリア語ではそのまま「アリ・エ・オリオ(ニンニクとオイル)」とか「スパゲティ・デスペラート(絶望)」、あるいは「貧乏人のスパゲティ」と言われています。お金が無くて具を買えないから、とかこれ以上味を極めることが出来なくて料理人を絶望の淵に追いやるからというのがその名の由来だそうです。諸説ありますけれども、これ以上シンプルには出来ない、まさに究極のパスタと言っても過言ではないでしょう。
さて、お鍋にたっぷりのお湯を沸かし沸騰したら塩を、そうですね、2リットルにつき大さじ山盛り一杯くらい入れます。これでまず麺の味を決めるわけですね。麺を入れたらゆっくりかき回して均等に茹でますが、差し水はしないでくださいよ、ぐらぐら沸き立たないよう火を調節します。茹で加減は時間ではなく麺を爪で切って断面を見ながら決めます。中央の白い部分が消えて透明になりかかった瞬間に一気に上げてフライパンに移します。
さて、麺を茹でている間にフライパンの用意です。ニンニクは一人あたり親指大1個とパセリをみじん切りにします。材料はたっぷり多めに使いましょう。オリーブオイルを一人あたり大さじ3杯強検討(約50cc)フライパンに取ります。え、そんなに入れるの?と思われるかも知れませんが、そうなのです。オリーブオイルは炒め油ではなく、調味料なのであるとご理解ください。そして、ひとり50ccを入れたその瞬間からスパゲティが美味しくなること間違いありません。
さて、弱火でニンニクをじっくり炒めますが、くれぐれもきつね色にしてしまわないようにしてください。好みで鷹の爪とか輪切り唐辛子を入れてもいいです。十分香りが出たらパセリ半分を投入して火を止めます。麺はゆであがり間近になっているはずですね、ここに3-4人分ならお玉一杯半くらいのゆで汁を注いでください。余熱でニンニクが焦げるのを防止するとともに全体の塩味はこのゆで汁で付けるのです。
麺がゆであがったらフライパンの火を付け、残りのパセリと麺を入れて手早く混ぜ合わせたら出来上がりです。スパゲティを「炒める」のではなく「オリーブオイルで和える」気持ちで作ってください。
パスタはバリラのNo.3を使用します。 |
パセリは3人分でこのくらいをみじん切りに。 |
オリーブオイルは1人分で大さじ3杯です。 |
ニンニクと鷹の爪をじんわりと「温め」ます。 |
パセリを入れます。 |
お玉1杯半の茹で汁を投入します。 |
手早く混ぜ合わせて火を止めます。 |
パスタの完成です。ツヤツヤしています! |
さあ、いただきましょう!いかがです?ビックリの味ではありませんか? |
お皿にとってください。どうです、麺がお皿の上をつるつる逃げる感じが出ればゆで汁の量が丁度良かったことになります。べったりとお皿に付いてしまうようなら、茹で汁が足りないのです。直前にブラックペッパーを振ってお召し上がりください。
いかがです?こんなにシンプルで美味しいパスタは知らなかったでしょう?イタリア人ってホント食いしんぼですね。
もしそれほどおいしいと感じなかったらどこかで失敗しています。茹で時間、塩の量、ニンニクの量、そしてかんじんのオリーブオイルの量とゆで汁の割合。正しい量のオリーブオイルを使っていれば必ず食べ終わったあとが右の写真のようになるのです。
全てがきちっとはまると「何でこんな具も入っていないのが、こんなにうまいんだ!」と思わず叫びたくなるようなパスタができあがります。是非何回かトライしてみてください。きっとうまくいく瞬間が見つかるはずです。