マイレシピ公開!<My Favorite cooking>

*ベルギーで作る札幌ラーメン!

1984年から88年の4年間、ベルギーに滞在しておりました。日本人にとってはいくら現地に美味しいものがあってもやはりどうしても、ある日突然、無性に、待ったなしで・・食べたくなる食べ物ってあるものです。例えばカレー、例えばラーメン!。インスタントラーメンはいつでも作れますがやっぱり本当のラーメンを食べたい、それで日本食料品店にいくと生麺とスープが入った2食入りパックの冷凍があるのですが、輸送中にあちこち当たるためか麺がかなり崩れているのですね。そこである日中華食材店で「鹹水(カンスイ)」の瓶詰めを見つけたときに、「これだ!自分でラーメンが作れる!」と思いついたのです。
(*カンスイ:アルカリ性の添加物で、小麦に作用して引き締めラーメン独自の歯ごたえと香りを生み出す。)

材料は小麦粉と卵と水で、そのままこねればパスタに、さらにカンスイを入れるとラーメンになります。
まず、使う小麦粉を探しました。日本では薄力粉、中力粉、強力粉と分けて売っていますが、ベルギーではケーキ用とかパン用としか分かれていません。そこでスーパーで売っている小麦粉をひととおり買ってきてその性質を調べました。
麺に必要な腰の強さは、小麦粉のグルテンというタンパク質から生まれます。小麦粉に水を加えて練って団子にし、それを水で洗い流すと最後に黄色いグニュグニュしたものが残りますがそれがグルテンです。銘柄ごとにグルテンの量を調べ、強力粉、中力粉と分類しました。例えばスーパー「GB」で売っている小麦粉では「Farine de Ble」が強力粉、銀色の「Farine」が中力粉と判明しました。あとはその割合をかえて麺にしてみればいいだけです。

強力粉と中力粉の割合、卵の数、塩の量、カンスイの量、寝かせる時間など、毎回ノートに記録してほとんど毎週末ラーメンを作ってみました。約半年してほとんど満足の行くものができたのが以下の配合です。

強力粉  520g
・中力粉  80g
・卵    2個
・塩    中サジ2杯
・カンスイ 中サジ2杯
・水    カップ3/4

以上をよく練ってサランラップでくるみ、約半日ほど冷蔵庫で寝かせます。
そうするとざらざらしていた表面がしっとりつやつやとしてきますので、それを綿棒で伸ばして切ればいいわけです。ここでもう一つ、私をしてラーメン造りの決心をさせたきっかけ、それがデパートの調理器具売り場で見かけた「パスタマシン」です。
右の写真のように、ハンドルを向こうの穴に差し込み、本体をテーブルなどに固定して使います。上面の溝は、一番右が生地を伸ばすローラーで、手前にあるつまみで1から7まで厚さを変えることが出来ます。真ん中と左は生地をカットするための刃になっており、幅1センチくらいの広幅と2ミリ位の細幅の2種類があります。玉になった生地をある程度手で伸ばしたら、ローラーの間を通して伸ばしていきます。一度通したら二つ折りにして又通します。
そして一番厚いところで15センチくらいの長さずつ切って軽く打ち粉を振り、こんどはローラーの幅を順に狭くしながら伸ばしていきますと、一番狭いところから2番目で丁度40センチくらいの食べやすい長さになります。あとは細幅の刃を通すとラーメンの完成。
打ち粉をして軽く両手でもんで縮れを付け、一食分ずつポリ袋に入れて保存します。

さて、麺が出来たところで次はスープですね。ベルギーのスーパーで豚の肩肉(Spearing)を買うと必ず背骨も一緒に付いてきますし、鶏肉ももも肉は骨付きしかありませんから親子丼を作った後などは骨が残ります。それを捨てないで両方とも冷凍してとっておいて、それをまとめてスープに使います。ざっと下煮してから水洗いして血や灰汁を取り、それからショウガやタマネギ、ポアロ(長ネギ)を加えてことこと1-2時間位煮込んでスープをとります。火を強くすると豚骨スープ風に濁りますがその辺はお好みで。でも灰汁はこまめに取りましょうね。最後に目の細かいざるとか、ガーゼで漉せばスープは出来上がりです。

チャーシューつまり煮豚は簡単です。モモよりは肩肉の方が美味しいですから、醤油にみりんを少量加えショウガを2-3片放り込んで肉のブロックを煮込みましょう。ネットやひもなんて掛けません。これで煮豚と醤油ラーメンのタレが両方出来上がりです。

では、いよいよラーメン、それも札幌ラーメンを作りましょう。
麺を茹で始めたら同時に中華鍋に少量のごま油を入れ、強火でニンニクとかショウガ、そしてモヤシとタマネギをざっと炒めそこに先ほどのスープを人数分ジャーッと注ぎます。スープに野菜のうまみを加える、ここが札幌風に仕上げるポイントなんですね。丼に化学調味料を小さじ半分くらい、それに醤油ラーメンならばタレを大さじ3杯ほど、塩ラーメンは塩を小さじ1-1.5杯、味噌ラーメンならば味噌を適量のみりんで溶いて用意します。中華鍋からスープだけ注いでタレなどを溶かし(味見もしてください)、麺を入れ、中華鍋の野菜と煮豚を添えれば出来上がりです。

いかがでしょう?ご満足いただけたでしょうか?
ちなみにパスタマシン、うどん作りにもそば作りにも活躍したことは言うまでもありません。でもついに手打ちパスタは作りませんでした。ハイ、日本にも持ち帰ってきましたが、台所の奥深くしまいこんで滅多に使う機会がありません。無理もないですよね、日本でならどこのスーパーに行っても、コナゴナに折れていないラーメンが手にはいるのですから。

 

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