*ベーコンの次は「手作りコンビーフ」
ソーセージも作りました、ベーコンもつくりました。そうなるとコンビーフだって作ってみたいですよね?
実はコンビーフには思い出があります。
大学5年のときにアメリカのロサンゼルスに住んでいたことがあるのですが、そこで人生初の本物のコンビーフと遭遇したのです。右の写真は40年前の私です。ロサンゼルスにあるファーマーズマーケットでコンビーフサンドイッチを食べているところです。手に持ったコンビーフの厚さに注目してください。パンと同じ厚さのコンビーフがお店で出てくるというのがカルチャーショックでしたね。
それまでコンビーフとは、台形の缶詰を開けて薄く切ってから繊維の間からパンが透けて見えるくらい薄く延ばして食べるものだと思って育ちましたからねえ。懐かしくなってそのファーマーズマーケットのコンビーフ、英語ではコーンドビーフと呼びますけれども、サンドイッチのお店をネットで検索したら、まだあるようです。(下写真右)
そもそもコーンドビーフとは塩漬けの牛肉のことで、塊のまま塩漬けしたあとでやわらかくなるまで煮込めば出来上がるという簡単なものです。アメリカのスーパーではスパイス入りの塩水に漬け込んだ胸肉のブロックを売っており、それを鍋でコトコト煮るだけでコンビーフが出来上がるのです。アメリカ在住時代は私もそれを買ってきてしばしば作っておりました。(写真右)
これが本場のコーンドビーフサンドです。 |
これがスーパーのコンビーフのブロックです。 |
さて、日本ではなかなか本物のコンビーフを見かけないなと思っていたら、たまたま麻布のニッシンでコンビーフを薄切りにしてパックしたものを見つけました。
ニッシンで見つけたコンビーフです。 |
一枚一枚がごく薄く切ってありました。 |
早速、本場を真似てパンよりも厚いコンビーフをはさんだサンドイッチを作りました。 |
さて、前置きが長くなりました。では自作コンビーフです。
いくつかの作り方がありますが、要はしっかりと塩漬けにすることです。まずは近所のスーパーでアメリカ産の胸バラ肉のブロックを買ってきました。脂肪の少ない、赤身の四角いブロックがいいですね。次に最初の手順としてこのお肉にブスブスとフォークで表と裏に穴を開けます。調味料が中まで染み込みやすいようにするわけです。それから必要ならブロックを二つに切って塩を、お肉の重量の1%程度を振りかけて全体になすりつけます。それが終わったらジップロックに入れて、なるべく空気が入らないようにして口を閉じます。ここまでの手順はベーコンと同じですね。これを冷蔵庫に入れて、ときどき上下を入れ替えながら2日くらい保存します。
塩漬けが終わったら、今度はソミュール液(調味液)に漬け込みます。配合は水200ccに対して砂糖10グラム、塩50グラムを入れていったん沸騰させてから冷まします。これをジップロックに注ぎ入れて、コショウ、コリアンダー、スライスした玉ねぎやニンジン、セロリなどの野菜と一緒に3日から1週間漬け込みます。この際、空気が入らないようにすること(雑菌の繁殖防止)と適宜上下をひっくり返すなど塩分が均等になるようにしてください。
冷蔵庫の中とは言え、長期間漬け込みますので特に雑菌の繁殖防止には気をつけてください。使用するまな板や包丁、フォークなども清浄なものを使ってくださいね。
漬け込んだお肉を取り出して、ちょろちょろの流水で1時間くらい塩抜きをします。続いてお肉がかぶる量の水で、圧力なべなら1時間、普通の鍋なら2時間水煮してください。串が楽に通るくらいのやわらかさになれば結構です。
これで出来上がりですが、冷ましてから1日くらい冷蔵庫に入れておくと味が落ち着きます。
胸肉のブロックに塩、コショウ擦り込んでパックします。 |
肉に調味液を加え、ニンジンや玉ねぎなどの野菜を加えて再びパックします。 |
塩抜きした肉を圧力なべで水煮します。 |
1時間煮たところで蓋を取って様子を見ます。 |
ジューシィさを維持するために煮汁と一緒に冷まします。 |
これで出来上がりです。切ってみましょう。 |
押すとホロホロと崩れるので、全部ほぐしてみました。 |
はい、コンビーフサンドイッチの出来上がりです。 |
さて一日置いたコンビーフの出来具合はというと、そうですねほぼ100点というところでしょうか。香りはかの缶詰のコンビーフに負けないいい香りがします。噛んで知ると牛肉の味がじわじわと広がってきます。今回は適当にスパイスを入れましたが、いろいろなレシピを調べて自分の好みの香りに仕上げたいですね。