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カニのゆで方、食べ方指南

いつも行く近所の魚屋では、近年よく「活毛ガニ」が入っています。値段も昔から見るとずいぶん安くなりましたが、料理したことがないから・・と見るだけの方はいらっしゃいませんか?
せっかくですから皆さんにもその美味しさを楽しんでいただきたく、以下に茹で方とさばき方をお教えしましょう。

ここでは毛ガニを例に取りますが、ズワイでもタラバでも茹で方の基本は同じです。

そうそう、始めにカニの種類を説明しておきましょう。
北海道で採れるのは「毛ガニ」「ズワイ」「タラバ」と「花咲」、「ワタリ」と「アサヒ」は本州から南で採れます。
料理法として「ワタリ」にはぶつ切りにしてスープで煮込む方法が中華ではありますが、通常は茹でるのが一般的でしょう。

毛ガニ
ズワイガニ
タラバガニ
花咲ガニ
ワタリガニ
アサヒガニ

ちなみに毛ガニやズワイガニとタラバや花咲ガニではハサミを除いた足の数が違うことにご注意ください。毛ガニは4対ありますが、タラバや花咲は正しくはカニではなく、ヤドカリの仲間ですから足が3対しかありません。

さてそのタラバガニですが、一般にタラバガニと言われていますけれども、正確には「本タラバ」、「アブラタラバ/アブラガニ」、「イバラガニ」の3種が市場に出ています。

見分け方は、まず全体の色をみると「アブラタラバ」のほうが黒っぽいです。そして甲羅のHの字の下の突起が6つあるのが「本タラバ」、4つが「アブラ」なのです。

そして「イバラガニ」も突起は4つですが全体に黄色っぽくて突起が少ないのですぐわかります。

一番値段が高く格が上なのが「本タラバ」、「アブラタラバ」は甲羅の突起以外では見分けが付かないので「タラバの足」として売られているとどちらかわかりませんが、味はちょっと劣りますし値段もその分安くなっています。
「イバラガニ」普通足だけで売られることが多く、とにかく大きい割に安いのが特徴です。味は本タラバほどのコクがないのですが、甘みが強くさらっとして食べ応えがあります。

もう一つ、そっくりさんものの話をすると「クリガニ」(写真右)でしょうか。

毛ガニよりやや小さいのですが、一見色も形もそっくりです。
良く見ると爪の先が黒いのと、甲羅の周囲の棘が大きいので見分けが付きますが、価格も安く味は数段劣ります。

ところで「毛ガニ」と皆さん呼んでいますが、それは通称で、実際はどちらも「クリガニ科」に属していて「オオクリガニ」のことを「毛ガニ」というのだそうなので、本家はそちらという訳・・。

さて、本題に入りましょう。
カニは必ず活きているものを買ってくること。死んだカニは、時間がたつと茹でても身が綿のようにふかふかになってしまい、甘みもなくなってしまいます。簡単なのは飛び出している目とかヒゲをさわってみて反応があれば活きている証拠です。そして見た目よりずっしりと重い感じがすれば身もつまっています。脚も太いところをつまんでみましょう。身が入っていなければぷかぷかした感じがしますし、特に殻が柔らかければ脱皮した直後でこれも身が入っていないカニです。
脱皮直後の「若ガニ」は殻の色もいかにも若々しく明るい色で透明感があるのに対して、「堅ガニ」は色も黒ずんで堅い殻になっていますので注意して観察してみてください。この写真は花咲ガニですが、裏を見ると脚の付け根が黒ずんで、片方のはさみと脚が1本なくなっています。そのうえよく見ると亡くなった脚のあとに新しく細い脚が生え始めています。こういうカニは幾多の修羅場をくぐってきた、成熟したカニであるとわかります、間違いなくおいしいカニです。

買ってきたらすぐにたわしで周りのおがくずをざっと落とします。ボウルに水を張ってざぶざぶと洗ってください。脚と脚の間も、特に毛ガニは細かい毛の間におがくずが残りやすいので注意して洗い落としてください。
そして脚を折り畳んだ状態にしてゴムバンドで(丁度向こうずねのあたりで)縛ります。

なお、タラバの場合だけ、「ワタヌキ」をした方が良いでしょう。というのはタラバの場合はミソは茹でても固まりにくく、直ぐに味が落ちて全体を不味くするので茹でる前に掻き出してしまいましょう。お腹の三角の「ふんどし」を切り開いて海草みたいなワタを指先で掻き出してください。水道のホースでで洗い流しても結構です。(写真右)

さて、 茹でましょう。
たっぷりのお湯を沸かし、1リットルにつき大さじ一杯の塩を入れ、そして「ごめんね・・」とつぶやきながら(別に言わなくても味は変わりませんが)甲羅を下にしてカニを一気にお湯に沈めます。後は沸騰するまで蓋をして強火で茹で上げます。7割方茹で上がったら上下をひっくり返します。

茹で時間は大きさによって毛ガニは10分から15分、タラバは15分から20分です。茹で上げたらバットなどにとってあら熱をとります。汁が垂れてきますので、網などで浮かせておき、下に新聞紙を敷いておくと良いでしょう。茹でてすぐ食べるよりはその後数時間、もしくは一晩冷蔵庫に入れておく方が甘みが増します。

あらかじめ茹でてあるカニの場合、身の入り方以上に鮮度にも注意が必要です。特に氷の上に載っていると分かりにくいのですが、おなかの臭いをかいでみたり、甲羅の上を指でなでてみましょう。つんとくる臭いがしたり、表面がぬるっとしているのは古くて傷んでいるカニです。ミソはもちろん身も崩れていて到底食べられるものではありません。

<カニのさばき方>

1. 足をはずす

それぞれの足を腹の方に折り曲げて、関節の根本から折り取ります。タラバやズワイ、花咲ガニなら根本からハサミで切り取りましょう。

2. 甲羅をはずす

ひっくり返しておなかの三角の部分(通称:ふんどし)を開いて外側に折り曲げて引き抜きます。

毛ガニではこの部分は食べませんので捨ててください。

タラバや花咲ガニのメスなら、ここにびっしりと卵を抱いています。「外子」(そとこ)と言います。

まず周囲の外子を取り出しましょう。薄い皮の根本に「枝」が付いていますから、房ごとちぎります。

これはこのまましゃぶってお召し上がりください。

さて、「ふんどし」の内側には美味しい肉がありますのでハサミで殻を切り開き、二つに割ります。

中央の腸は食べませんのでこれを外します。しゃきしゃきとした食感が楽しめますし、さらにメスはここにオレンジ色の「内子」(うちこ)があります。メスならではの珍味です。

ふんどしを引き抜いたあとのすきまに親指を入れ、足の付いた腹側を別の手で支えて、バリバリをいう感じで後ろから前に向かって甲羅を引き剥がしてくさい。

毛ガニでは、甲羅の内側に焦げ茶色のミソがあります。
冷凍ものではぱさぱさして美味しくありませんが、自分で茹でたものではねっとりとして美味しいことこのうえありません。ぜひ日本酒をご用意ください。
熱燗を用意して、この甲羅に注ぎ、ミソを溶かしながら飲む甲羅酒もなかなかの味です。

タラバではミソはありませんが、花咲ガニにはそのかわりにピンク色のプルプルした「油」があります。新鮮なものでは甘みがあってミソにも匹敵する珍味です。スプーンですくってお召し上がりください。

なお、その反対側には薄皮があってこれは食べませんが、その上に多少肉の部分(写真では赤く見える部分)があってここも食べられますので、指でむしっておいて下さい。

3. えらを取る

足の付け根、いわゆる肩の部分に付いているえら(うす茶色で房になってざらざらしています)は食べられませんので指で根本からむしり取ります。

目、口、それから小さな後足状の部分もむしり取りましょう。

どのカニにも中央に白い堅い軟骨状の部分があるのでそれも取り去りますが、毛ガニにはその下に「みそ」がありますので注意しながら小スプーンなどですくい取っておきましょう。
花咲と違って毛ガニには白い脂肪がありますが、もそもそしていて美味しいものではありませんのでミソだけを取り置きます。

なお、ズワイでは緑色のミソと米粒のようなものが一緒になっていますが、こちらはどちらも食べられます。

4. 取り分け

さて、ここからは本格的に食べる作業に移ります。

まず、足の付け根、肩の部分を両手でつかんで一度内側に折り曲げてから反対に折り曲げ、二つにパカッと割ります。

次に料理用のはさみで、足の付け根のしきりになっている部屋の間の上下の殻に切り込みを入れておきます。
ねじるようにしながら左右に引くと中の身が取り出しやすくなります。

足の部分は節から反対方向に曲げてバキッと折り取ってから、ハサミで殻の上下を切っておくと、中の身が簡単に取り出せます。

以上で「解体」作業はおしまいです。

ちなみに足の先の爪を使って身をほじり出すと細かいところも苦になりません。それにちょっと「通」っぽいでしょう?
あれ、返事がない・・皆さん「無口」になってしまいましたね!まあ、カニだものしょうがないっしょ!

花咲ガニの脚です。周りに見えるプルンとした黄色いものは「脂」と呼ばれるもので、食べて美味しいのでそのままどうぞ。

そしてこちらが巨大な爪です。重いですね。殻が厚くて割るのが大変ですが、その中には特に美味しいカニ肉が詰まっています。

毛ガニはなんといってもミソが美味しいので、肩肉にミソを絡めていただきましょう。思わずムフフと笑ってしまう味ですよ。

タラバのだいご味はその大きさですね。脚1本だと一口では食べきれませんが、食べやすくて味が濃くて・・・カニの王様ですね。

それでは皆さん、おいしくカニを召し上がってくださいね~ 

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