*絶品!ズワイのカニしゃぶ
突然ですが皆さん、「これまでの生涯で食べたもので一番美味しかったものを3つあげろ」と言われてすぐに思いつくものはありますか?私の場合、順番は色々あるかもしれませんがとにかくその一つに確実に入ると思われるものがこの「ズワイのカニしゃぶ」です。ここではズワイと総称していますが、爪のところに青や黄色の「身分証明タグ」が付いた越前ガニはもちろん(とは言ってもちょっと大きいと1杯で1万円します!)、北海道やロシアのズワイでも十分以上に美味しいですのから、ぜひ一度はお試しください。
安い方から行きますと、いつも行く近所の魚屋では年に一回か二回、活ズワイが入ることがあります。見つけたらまずスチロールのトロ箱一つで買いますね、大きさによって3杯か4杯入って1980円から2980円くらいなのです。これは安い!
一方、いわゆるブランドガニは、これは近所の魚屋では扱っていません。築地まで買いに行くことになります。そして普通のズワイは年中手に入りますが、日本海のブランドガニは10月から2月までと漁期が決まっています。越前ガニ、松葉ガニそして間人(たいざ)ガニなど、陸揚げする場所によって名前が変わります。大きさにもよりますが、安くても1ハイ4000円から1万円と超贅沢品ではありますが、たまには本物の味も味わってみたいものですね。
産地はどこであれ、カニだけは絶対に活ガニでなければなりません。上がった(死んだ)カニだと身がワタみたいにふかふかしてシャキッとした食感や甘みが無くなります。箱から取りだしたカニさんは、まずざっと水洗いして、かわいそうですが出刃包丁で脚を根本から切り落とします。そして一番太いところの内側、つまり色が薄いほうですね、ここに出刃を寝かせて殻だけそぎます。外側の固い殻と肉の間には薄皮のようなものがありますので、丁度その下に刃が入るようにします。2、3本切ってみればコツがわかるでしょう。
一方、土鍋には水を張って昆布を敷いておきましょう。他の具としては繊細なカニの味を壊さないよう、水菜とかエノキ程度にとどめておいてください。冬の時期ですと、新ワカメなんぞ、最高に良い組み合わせですね。
築地で仕入れたズワイガニ。ピンクのタグ付きはマツバガニ。中サイズは兵庫県産で小さいのはメスのセイコガニ。 |
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根本からざっくりと刃を入れます・・・ |
こんな感じで内側の殻をはぎ取ります。 |
しゃぶしゃぶ用の下ごしらえが終わりました。透き通った身がきれいです。これで3ハイ分(大1、中2)です。 |
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こちらは近所の魚屋の、一箱3杯で2400円のロシア産。 |
これだけあれば家族で十分楽しめます。 |
では食べ始めましょう。火をつけてお湯が動き始めたら、沸騰しない程度に火を加減してカニの脚の爪の方をもってしゃぶしゃぶ・・・とやってください。30秒くらいでしょうか。中が白くなって膨らんだ感じになれば結構です、まずはそのままふうふうして、お召し上がり下さい。どうです?一瞬呆然となる美味とはこのことか!・・と思いません?
もしカニ酢をお使いになりたいのでしたら、日本酒、ミリン、昆布だし、塩で薄い吸い物を作り、これにリンゴ酢か柿酢を加えて加熱するとまろやかなカニ酢ができあがります。簡単に作るなら、市販の讃岐うどんつゆを薄めてリンゴ酢を加え、電子レンジで軽くチンする方法もあります。
昆布の出汁でしゃぶしゃぶと・・・・ |
こんな感じで約30秒、身が白くなったらOKす。 |
カニの身がぷっくりと盛り上がっているのがわかりますか?これが火が通った合図です。 |
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中心がちょっと透明くらいの方が美味しいです。ゆで過ぎに注意してください。 |
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これにはやはり日本酒が一番ですね。 |
この出汁はあとで雑炊にしましょう。 |
さて、さっき残ったカニの本体はどうしたかって?これはたっぷりのお湯に塩大さじ1〜2杯を入れて15分ほど茹でてしまいます。こちらは「カニミソ」ねらいですね。肩にも身が詰まっていますからハサミを上下に入れて器に掻き出してそこにカニミソを和えてはいかがでしょう。これまた日本酒を用意していただかなくてはなりません。
美味しそうに茹で上がりました。 |
カニミソがしっかりと入っていますよ。 |
肩の肉を全部ミソの上にかきだします。 |
そして混ぜ合わせると・・このとおり! |
1ハイは丸のまま茹でガニにしてみました。 |
爪の部分は直火で炙って焼きガニにするのも良いですね。 |
一方セイコガニ、これはズワイのメスです。小さいので、身はほとんど期待できませんが、目当ては内子と外子です。ざっと洗ったら、塩水で茹で上げます。お腹の「ふんどし」の下には外子がびっしり。そして甲羅の裏側にはねっとりと味の濃い内子が楽しめます。肩の部分はそのままかじりついて歯の先で身をしごき出すようにしてください。あああ、幸せなときですね。
茹で上がったセイコガニです。ほかほか〜 |
こんな感じでお腹にはびっしりと卵を抱いています。 |
十分冷えたところでいただきましょう。 |
そして甲羅をめくると内子があります。 |
ズワイガニ、北陸あたりのちゃんとした料理屋さんで食べたら目が飛び出ること間違いありませんが、こうして活きのいいカニが入ったときだけ自宅で楽しめば、お店の一人前の半分以下ですみます。それも年に一回あるか無いかの楽しみだからありがたさも増すというものですネ。
さて、今度はいつかなあ〜。