*炭坑の「なんこう」?
皆さんは「なんこう」という言葉を聞いたことがありますか?もともとは「なんこ」と呼ばれる秋田の言葉で馬肉もしくは馬腸をさし、それが北海道の炭鉱地帯に労働者のタンパク源として広まったものです。
http://www.city.utashinai.hokkaido.jp/2-gaiyou/kyodo.html
私の父親は、三笠の先の幌内というところで炭坑府のせがれとして育ちました。従ってなんこうは馴染みの多い食べ物であり、良くビールのつまみに楽しんでいました。幌内の実家に行けば、私もそれをご馳走になったものです。元々が堅い腸なのでなかなか噛みきれず、私が幼稚園のころになんこうをくちゃくちゃ噛みながら表で遊んでいたら「ボウヤ、何食べているの?」と近所のおばさん。それを聞いた伯母は「アラ、なんこうなんて言われたら恥ずかしいなぁ・・」と思っていたところに私が「お肉ぅ~♪」と言ったのでホッとしたと語ってくれました。何と言ってもなんこうは低所得者層の食べ物でしたからね、いくら美味しくても、自慢できるものでなかったのは確かです。
さて、このなんこう、作り方は難しくはありませんが、材料である馬腸を手に入れるのが難しいのです。つい最近までは三笠市内の生協でも生や茹でた馬腸を冷凍ブロックで売っていましたが、いまや過疎化でその生協も無くなってしまいました。今回作成したのは、たまたま山梨県の富士吉田市の馬肉店(お茶屋肉店)で売っていたからなのです。
ここの「馬モツ」は下茹でしてあるものと、生があります。どちらも一口大に切ってあり、1キロでビニール袋に密封されています。生の場合は水を換えて血が無くなるまできれいに洗ってください。鍋にショウガと日本酒を入れて多めの水で30分くらい下煮してください。これでボイルと同じ状態になりました。
ボイルしたモツの場合は、全体を洗ったら水に酒、ショウガを加えて軟らかくなるまで煮ます。田舎の作り方ではそのまま味噌を加えますが、なるべく臭みをとるために2回くらいゆでこぼしましょう。煮ている間は「かなり」独得の臭いが台所に広がりますので、そのおつもりで。軟らかくなったら、ゴボウとこんにゃくを加え、さらに味噌を入れて好みの味にしてください。
いかがです?シャキシャキした食感と独得の風味がやみつきになるはずです。
これが肉屋から買って来た生のモツ。 |
何度か水を換えて血が無くなるまで洗う。 |
お湯に酒とショウガを入れて30分位茹でる。 |
ざっと洗ってから、水、日本酒とショウガで軟らかくなるまで煮る。 |
軟らかくなったらゴボウとこんにゃくを加えて味噌で味を付ける。 |
冷めて味が染みたら出来上がり。 |