Marine Life

*船に乗ろう!

  ・ボートクラブは?

  ・ボートはいずこ?:選択編

  ・ボートはいずこ?:試乗編

  ・ボートのその後:破綻編

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・ボートクラブ

免許を取っても船がなければ宝の持ち腐れですね。
自分で買うのは結構大変です。まず本体が23フィート前後の中古で10年落ちくらいで100万円前後、それに保険料、修理費、燃料代などがかかります。そして係留にマリーナだと年間60-90万円、私設や東京都の暫定係留所でも月2-3万円必要です。つまり最初の1年で200-250万円は見ておく必要があるわけですね。

そこでいわゆるボートを貸してくれるクラブのメンバーになって必要なときだけ借りるという方法があります。
まず有名なのが、かのヤマハが母体となっている「ヤマハSRVレンタルボートクラブ」です。
入会金1万円、3000円/月の会費で全国200ヶ所の提携マリーナでボートを借り出すことが出来ます。
もちろんその都度レンタル料を払い、燃料費は別途ですが、それ以外にも提携マリーナにもよりますがこのクラブに割り当てているボートの数が少なかったり、航行水域に制限(ディズニーランドと羽田空港を結ぶ線より内側)があったり、貸出時間が昼間のみで最大6時間までだったりという制約があります。これでは夜釣りはもちろん東京湾内のちょっとした釣りも出来ない事になります。

他にも民間のボートクラブが都内にはいくつもあります。
例えば「ニューポート江戸川」、保有艇の数も多くレストランやクラブハウスも完備した大手ですが、ここでは40万円、150万円、300万円の入会金に応じて(別途1万-2万円/月会費有り)有償または無償で、あるいは大きさのことなるボートを借りることが出来ます。例えば150万円の入会金は高いように思えますが10年間有効ですから一年では15万円、これに年会費18万円を加えてもマリーナの利用費の半分ですむ計算です。
もちろん入会金が10万円くらいで、年会費も月2000円、利用料はその都度というところもありますから豪勢にもささやかにも自分なりのマリンライフをエンジョイすることは出来ます。ただ、規約としては大体同じで、航行水域や時間の制限、夜間は不可(リトルオーシャンはナイトレンタルもあり)となっていますので、早朝や夜間からの出発や泊まりがけのクルーズは出来ないと思わなくてはなりません。

私の場合は、当初は免許取得でお世話になったところで割引でレンタル会員になって1-2年ほど操船の腕を磨き、慣れてからもし中古艇の出物があればその時は購入を考えてもいいかななどと考えておりました。ところが私より1-2ヶ月、免許取得で先行している同僚とあれこれ話し合ううちに、どのボートクラブでも結局時間や航行海域の制限を受けるのなら、最初から共同で一隻船を買ってしまうほうが交代制にしてもかなり自由に使えて、費用もクラブに入ってレンタルするのと大して変わらないのではないか・・という意見が出てきたのでした。確かに一人で100万単位のお金は大変ですが、3-40万円なら何とかなりそうです。
というわけで意見が一致、ここで急遽皆で適当な船探しを始めることになったのであります。


・ボートは何処?その1

ボートの「売ります」情報を調べるにはまずインターネットのYAHOOのオークションでしょう。そしてボート雑誌。

でもその前にまず、「どういう船を希望するのか」それをある程度決めておかなければなりません。

・用途
私はとにかく東京湾を中心に家族や友人をのせてクルージング、船上パーティ、潮干狩りや釣りを楽しむことが目的ですし、他の二人も多少のウエイトの差はあれ似たようなものです。釣りと言ってもアジとかキスなどの湾内の釣りであって大島や伊豆でのトローリングまでは考えません。そうすると自ずから漁船タイプやウェイク(水上スキーやボードなど)用のボートは除外されることになります。つまりクルージング、あるいはライトスポーツフィッシングタイプを探すことになります。

エンジン
船のエンジンには燃料の種類では、ガソリンとディーゼルがあります。ディーゼル船は元々価格が安い軽油を使い、さらには軽油に含まれている道路税分約32円ほどですが、道路の上は走らないという理由で免除してもらう証書を取ることによってさらに安く購入できるメリットがあります。また、エンジン自体の効率がよいので燃費がよい、構造が簡単で故障が少ないという大きな利点があります。ですから漁船はじめ業務用船舶はほとんどがディーゼルエンジンなのです。ただし音が大きい、振動が大きい、船自体の価格が高い、ディーゼル独特の臭いがするというデメリットもあります。
一方のガソリンエンジンですが、その逆ではありますが、かつ道路を使わないにも関わらず道路税免除が認められていません。きっと遊びで船なんかに乗っている人間には税金の免除はいらないということなのでしょう。エンジンとしては静かでパワーがあるので燃費は良くないですが、クルージングボートはほとんどがガソリンエンジンを搭載しています。
またガソリンエンジンには、シンプルでパワーの出るかわりに燃料にオイルを混合させなければならない2ストロークと、やや価格が高く複雑になりますが環境に優しい4ストロークとがありますが、新しいものは全て4ストロークですし後に述べる船外機だけのことですのでここでは単にガソリンかディーゼルかという選択にとどめておきます。

他にはエンジンの搭載場所によって船外機、船内外機、船内機に分かれます。
船外機とは、よく見かける船尾に独立した丸い形のエンジンとプロペラが一体になったものを取り付けたもので、舵はエンジン全体を左右に動かすことで取りますので独立した「舵」はありません。交換、取り外しての整備が簡単です。馬力は小さいものでは数馬力から大きいものでは200馬力を超えるものまでありますので幅広く使われています。古くはジョンソン、マーキュリーなどの輸入物からヤマハ、スズキ、ホンダ、トーハツなど国産も充実しています。船体はせいぜい25フィートクラスまでに使われています。手軽ではありますがエンジンが外にあるだけに音は直接耳に入ります。
そして船内外機とは、エンジンが船体の中にあって、推進器と呼ばれる減速機とプロペラが船尾に着いているものをいい、舵は推進器を左右に動かします。ガソリンではアメリカのマークルーザー、ディーゼルではボルボというようにエンジンの種類が絞られてきます。船体は小さくて17フィートから30フィートくらいをカバーするようです。船外機よりはエンジンが床下にある分静かになります。
船内機は、シャフト船とも呼ばれ、模型の船のようにエンジンが船内にあってシャフトが斜めに船体の下に伸びてプロペラにつながっているものをいいます。プロペラの後に付けた舵を左右に動かすことで方向を変えます。他はプロペラが向きを変えますので低速でも方向は変えやすいのですが、舵にある程度水流がないと向きを変えにくいという性質があります。漁船からタンカー、果ては潜水艦まで、エンジンも数百馬力から数万馬力に及ぶまさに船の中の船が採用する方法です。デメリットとしてはプロペラの点検や掃除ひとつにしても船を上架しなくてならない事、水深が浅いところではプロペラが引っかかる(他の2つはプロペラを水面上まで引き上げることが出来ます)ので潮干狩りには気を使う事でしょうか。

もう一つエンジンには数の違いがあります。船内機では余程の大型ボートでない限りエンジンは一つですが、船外機や船内外機ではエンジンやプロペラを2セット搭載する場合があります。本来一つで十分なところを倍にするのですからスピードは上がりますし、たとえ片方が故障しても航行を続ける事が出来るわけです。またこまかなことですが、プロペラが回転するとその反作用の影響で右回りと左回りで差がでたり、バックすると舵をまっすぐにしていても片方に回り出すのですが、プロペラが二つあると互いに逆回転させることでこの作用をうち消すことも出来ます。これを一基がけ、二基がけと呼びますが、もちろん二基がけの方が費用は高くなりますが安全性も高いというわけです。2基がけではコクピットのコントロールレバーが2本になっていますので見てすぐわかります。もちろん回転計や水温計などのメーターもそれぞれに付きますので数は2倍です。

・船体
始めに目的がクルージングと釣りですから、船体の形状と言っても船底が排水型か滑走型とかではなく仕様に近い構造上の事が中心です。

まずなんといっても操縦席の上の屋根は絶対必要です。オープンタイプの船では夏は暑く冬は寒く雨の日は乗れない、限られたものになってしまいますので我々の目的には合いません。その上保管中にコクピットが雨や埃にさらされることにもなります。
また家族や友人を乗せるのですから、女性の来客のことを考えると個室のトイレも必須条件です。小さい船ではポータブルのトイレを船首のキャビンに持ち込んでいる場合がありますが、いくら扉が閉まっていても部屋でオマルを使っている感じは誰だっていやなものです。トイレは水洗ですが電動と手動があり、これは電動であるにこしたことはありません。
船によっては操縦席の後にドアが付いているものがあります。寒い季節は風が巻き込みませんし、保管中も操縦席が汚れることが無くて大変いいのですが、夏は風通しが悪くなるとか、仕切りのため2-3人ならいいのですが大人数の時にデッキとキャビンのつながりというか一体感が無くなる可能性があります。これは船の大きさとの関係で決めることにしましょう。
フライブリッジ、これはキャビン内の他に2階にも操縦席があるものです。映画にでてくるような高級クルーザーが装備しています。トローリングをするときなど見晴らしが良く、ステータスシンボルみたいなものです。あれば歓迎ですが、これが付くのは26フィートクラス以上ですのでまず値段的に考慮の対象にはならないでしょう。
デッキとキャビンの広さは相互に関係します。つまり全長が同じなら、よりクルージング重視になるとよけい船首や操縦席のキャビンは大きくなり、その分デッキは小さくなります。釣りを重視するとデッキが広くなりますがキャビンは狭くせいぜい荷物置き場、また床を含めた船自体の高さも低めになります。釣りにはより海面に近い方が便利だからです。またウォークアラウンドと言ってコクピットの横を通って船首に行けるようになりますが、これもどこでも釣りが出来るようにするための形状です。

我々はクルージング重視なのでキャビンは広くベッドやテーブル、ソファがある方がいいということになります。

・装備
釣りの目的には魚探、竿立て、生け簀、操船にはGPS(衛星を利用した自船位置表示装置)やレーダー、そしてシャワーやキッチンなどの居住性に関するものまで船の装備には色々あります。欲しければ後から自分で付けられるものもあれば、本体の構造に関わるため取り付けが無理なものまであります。さて、希望する装備、あるいは仕様とは何でしょうか。

電装品ではステレオ、これは絶対欲しいものの一つですが、これは最初から付いていなくても自分で付けられますし、CDチェンジャーも追加したいところですから、購入時の条件にはなりません。漁探やGPSもこのたぐいです。あればもちろん歓迎ですが「付いていないからこの船は買わない」というレベルではありませんがどちらかというとこの中では漁探がセンサーの取り付けに手間がかかるのでややポイントを高くしましょう。他にもサーチライトなどは欲しい装備に入れておきましょう。

構造的な装備ということであれば便利なものが、シンク(流し)とかシャワーですね。これは清水のタンクがあって電動のポンプで水を出します。シャワーならポリタンクに水を入れるキャンプ用のものでも代用は出来ますがきちんと装備されている方が見た目上はるかに好ましいものの一つです。
そして電子レンジ、これは備えている方が少ないでしょうが船上で暖かい料理やお酒が飲めるというのは、特にパーティの時には非常に嬉しいものです。何とか後付けでも実現したい装備ですね。実際には船舶用として12Vで動く電子レンジというものはなく、バッテリーからインバーターという機器でAC100Vを作りだし、それに普通の家庭用の電子レンジをつなぐということになります。ただ、電子レンジは暖める電波出力の倍くらいの消費電力を必要とします。例えば500W出力で1kW、700Wだと1.3KWくらいの消費になります。電子レンジは安くて7-8千円のものもありますが、インバーターは1KWと1.5KWでは2-3万円の差がありますから極力消費電力が小さいのを選びます。とにかくおにぎりやコーヒーを温めるだけでいいのですから一番簡単で低出力のものを見つけましょう。

ウィンドラスは降ろしたイカリを引き上げるときに使う電動の巻き上げ機です。さっとクルージングだけしてひきあげる乗り方ではあまりイカリを降ろすことはありませんが、そもそも船首にしっかり固定する必要があるのと電気を食うのでバッテリーから太い配線を用意しなければならないので、最初から付いている方がいいことになります。

夜間航行設備、救命設備などは普通は完全に備わっているものなのでここでは触れません。

・まとめ
以上から、雑誌やインターネットで得た知識をもとに100万円前後の船の種類を絞っていくと以下の候補が見つかりました。

- ヤマハFR23HT :ヤマハの23フィート艇、115馬力のガソリン船外機一機がけがほとんど、個室トイレ有り

- 日産PS730 :24フィート艇、個室トイレ、リアドア有り、ガソリン船外機と船内外機の2種有り

- 日産F/FSB760 :25フィート艇、個室トイレ有り、ディーゼル船内外機

さて、この中から欲しい船が見付かるのでしょうか?


・ボートは何処?その2

インターネットのYAHOOのオークションで見つけたボートのうちこれはと思うものについて持ち主に質問をし、近くに係留されているものは日時を打ち合わせて、実際に船を見せてもらうことができました。

・6月8日(日):ヤマハFR23HT/DX 価格120万円

船は四つ木という、荒川の横を流れる綾瀬川に係留しているとのことで自宅から自転車で係留場所に向かいました。地図をファックスで送ってもらっていたので場所は直ぐわかり堤防のコンクリート壁から船が見えるのですが、壁の上には金網のフェンスが張られていて中に入れないのです。ところどころ扉が付いているのですが、チェーンでロックされています。携帯電話で連絡を取ろうとしていると、丁度桟橋に人影が見え向こうでもこちらに気が付いて内側からチェーンを外して、入れてもらうことができました。

さて船の状態ですが、13年経っていますのでゴムの窓枠などはそれなりに古くなっていますが全体としてはきれいな感じがしました。ただ、トイレが、最近乗った人が詰まらせたままにしていたためにモーターが焼けてしまっていて交換のため取り外した状態になっていました。引き渡しの時は新品を付けてくれるという話です。
エンジンは60馬力の船外機の二基がけです。標準仕様は115馬力の船外機の一基がけですので少し馬力が強いことになります。私も実際に船を見るのは教習艇以外では初めてなので、ハズカシげもなくいろいろ聞いているうちにオーナーのS氏が「じゃあ一回りしましょう」ということで試乗が始まりました。「二基がけだとこんな事が出来ますよ」と片方を前進、もう片方を後進にすると船体を軸として振り子のように船尾が回るではありませんか。車でいうところの「戦車ターン」ですね、ですから狭いところでも方向転換が楽に出来るのです。

隣の荒川とは堤防で仕切られていますが、間に水門があるのでそこをくぐると荒川に出ます。ここは広いのでフルスロットルでクルージング、30ノット近く出るとのことでかなり早く感じました。私は翌週に実技の試験を受ける身ですので、操船は遠慮してただ載せてもらっただけですが、やはりこのくらいの大きさだと走りも安定するしいかにもボートという感じがします。
桟橋に戻り、結果は改めて連絡することにしましたが、S氏はもう一隻別なボートも売っていてその日の午前中に買い取り人に引き渡したそうですが、その人の友人も一緒に来ていて私が試乗した船に興味を示しているというのです。ということは競り合いになる可能性があるということです。やれやれ。

その晩のことです。はたしてS氏から電話があり、もう一人が135万円の価格を提示したというのです。従って我々は少なくとも136万出さなければその船は買えないことになりました。これは当初の予定からかなりのアップです。結局そのくらい出すのなら、他にディーゼルエンジン搭載とか装備が充実しているとか、もっと条件の良い船もあるかもしれないということで購入はあきらめることに決定しました。

・6月15日(日):日産FS750 価格150万円

この船もインターネットで見つけました。船は江戸川に係留してあるとのことで、江戸川清掃工場の前で個人の販売者と落ち合い、そこから小さなボートで係留場所に向かいました。同型の船が2隻あるとのことで順番に見、そのうちの一隻で試運転をしてみました。江戸川を下って、おなじみのディズニーランドのところからUターン(教習で通ったところです)、今回は共同購入者3人で行ったので交代で舵を握ってみました。これはエンジンがディーゼルでシャフト船です。速度的には結構出るのですが、やはりディーゼルということで音はやや大きく特有の排気ガスの臭いがします。個人的にはこの臭いは苦手で、どうしても漁船を感じさせられてしまうのが難点かもしれません。

船体は年数相当でかなり色あせてもおり、デッキが広くて釣りだけが目的であればほとんど不満のないところですがトイレが個室でないこと、全体に「華」がもう少し欲しいということでこのモデルも見送りと決定しました。

・6月22日(日):日産PS730 価格110万円 vs FSB760 価格115万円

PS730というこの船は、「ボートライフ」という雑誌で某マリーナの中古艇コーナーで紹介されているのを見つけました。早速電話で問い合わせると現在は陸上にあるのでいつでも見ることが出来るとのことで、又3人で新中川沿いのマリーナを訪問しました。

まずエンジンからみていきますとガソリン、船内外機艇です。VG30という、セドリックなどの日産製自動車で定評のあるエンジンを使っていますので信頼性があり部品の入手も簡単です。何と言っても良いのはリアドアがあってキャビンが写真のように一体感がありますし、操縦席もファブリックでゲスト席が二人がけのベンチシートであることです。写真で見るとおり内外ともとてもきれいで、デザインも良く日産の代表的な人気モデルというのも頷けます。ステアリングがスポーツカーみたいな3本スポークというのもいいですね。気になるトイレは天井が低いのでかがみ込んで入る必要があるものの、ちゃんと個室(運転席のハンドルの裏側がトイレです)になっています。
全体的に見ても程度は良好で、価格、仕様ともほぼ満足できるものです。

ところが同じ場所にもう一隻、日産のFSB760という船があり、こちらもほぼ同じ金額で1フィート大きい25フィートなのです。較べてみるとこちらはリアドアはないのですがデッキが広くてキャビンの高さにゆとりがあるのです。
エンジンはこちらもPS730と同じガソリンの3リッターですがターボが付いている分馬力があり、燃料を食うというわけですが、車と違って常に一定の回転で走る船にとってはターボチャージャーは非常に効率よく働きますので問題ないでしょう。

大きさを取れば760、内装の充実というか雰囲気を取れば730、で値段は同じ・・これは迷うところです。

二隻をさんざん見比べた結果、多い人数で乗った場合には仕切りが無い分760の方がまとまってわいわいやれそうですので、760に軍配が上がりました。船首のバウキャビンも730では座って頭がぶつかるので、もぐり込んで寝るだけですが、760では一応皆で座って真ん中にテーブルをおけば食事くらいは十分出来るというのも理由の一つです。

さて、そうして船を絞り、ほとんどこれで決まりとばかり手付け金を払ってその日は終了。そしてマリーナの社長の「船は試運転して見なきゃ最後までわからんものだよ。」というアドバイスに従って後日、日を決めて船を水におろしてもらいテスト走行をする事になりました。

さてテスト走行の日、マリーナの前を上ったり下ったりしたのですが、なんとスピードを上げるとステアリングがとてつもなく重くなるではありませんか。聞いてみればこの船はパワーステアリングが付いていないのだそうで、車なら車庫入れで重くても走り出せば軽くなるのですが、船は停船時が一番軽くスピードが上がるに連れて重くなり、さらには片方にだけ(通常は右だけ)重くなるのは普通だそうです。こればかりは我々の完全な盲点でありました。シャワーやトイレやエンジン、その他の装備にばかり注意が向いていてパワーステアリングかどうかなんて全くチェックしていませんでした。
どうしても欲しければパワーステアリング自体は後からでも付けられるそうですが、2-30万円近くの出費を覚悟しなければならないそうです。
何とも恥ずかしい結果になり、いやはや自分たちの経験の浅さを身にしみた一日でありました。
そんなわけで手付け金まで払い込んだ船でありましたが、丁重にお詫びしてキャンセルをすることになってしまいました。

さて、またオークション探しに逆戻りです。

・6月28日(土):ベイライナー2452
免許を取る時にお世話になったマリーナリトルオーシャンから「ベイライナーの出物があるよ」という話は当初から聞いてはいたのですが、価格的に予算オーバーなことと、エンジンがガソリンで5.7リッターという大飯喰らいなため最初から考慮の対象から外していたのです。

ところが前の日産艇に決めようとしたことで、必ずしもディーゼルという条件にこだわらなくてもいいではないかという事になったため再びこの話を考え直してみました。あらためてインターネットで調べてみると、他の船はとっくに生産終了しているのですが、ベイライナーシエラ2452は名前が少し変わっていても依然として現行モデルでカタログにも載っているのです。写真やスペックでも詳細が解りますし、ギャレーの設備もクルーザーだけあって冷蔵庫や電子レンジはもちろん、温水器までが標準で装備されていてまさに完璧です。無いのはエアコン、洗濯機、テレビくらいでしょうか。キャビンも広く天井が高い上、窓が3面にあるので明るく居住性にも優れています。
コクピットはかなり高めでフライブリッジ並とは行きませんが、見晴らしは良く操縦も楽そうです。唯一の難点はフィッシングが主要目的ではないのでリアのデッキが狭く、水面よりかなり床が高いことでしょうか。燃料タンクは300リットル!もあり燃費は40リッター/時間は行きそうなのが維持費という面ではちょっと心配です。

とはいえ、それを上回る利点が多いのですから予算オーバーもやむなしとして、ともかく試乗をしてみました。ステアリングの軽いことは勿論、装備も良い、旋回時のロールが小さく船首の切れ込みが早い、またエンジンの状態も問題ありませんでしたが、唯一、残念だったのは海水域に係留していたため船底やドライブに貝類が付着していて全開走行はおろか正常な滑走状態を保てなかったことです。とはいえ、船底さえ綺麗ならば問題はないので船自体には満足ということで即日購入契約を結ぶことにしてしまいました。

それから名義変更に必要な住民票や印鑑証明を取り寄せ、係船料の引き落としをする口座を開設してそのコピーなどを用意し、支払いを済ませ・・・ついに我々の船が決まりました。

船の名前はとうに決まっています。「TRINITY」(トリニティ=三位一体)としました。共同購入する3人が一体となって協力しあい、共にマリンライフをエンジョイしようという意味でこの名を選んだのです。ただ、資金は3人で分担しましたが、名義については取得時と後日売却するときの手続きの簡略化のために一人を代表として単独名義としました。また、つまらないトラブルで友人関係を壊さないためにも経費計画を作り、クラブとしての利用規約も作成しました。

さて、この船は中古艇ですから基本は現状渡しなのですが、リトルオーシャンのサービスとして船底の清掃と塗装、ドライブのオイル交換やゴム部品の交換などをやってからの引き渡しとなりました。
この作業は浦安マリーナに上架して行うということで、その際に陸に揚げたときにやっておいた方がよいメンテナンス作業も一緒にやってもらうことにしました。
頼んだのは消耗品であるインペラーと排気ベローズ、シフトケーブルと電蝕防止のジンクの交換作業などです。

多分7月13日頃には引き渡しも済んで、初航走が出来るものと思います。

さあ、この夏のマリンライフ、楽しみなことになってきました。  

ベイライナー2452・・・その後(2004年7月)

当初、予想していたとは言えこの船の故障はかなりのものでした。詳細は「日誌」に記載しましたが、いくら最初から自分たちで出来る限りの修理をしようと誓い合っていても、いざとなるとなかなかそうは行かないものです。仲間の二人は車の現役メカニックですから、私としては彼らに率先して修理にかかってもらいたい気持ちがあるのですが、それぞれ個人の事情があっていつも船優先ではない・・そして実際にエンジン故障でレスキューされたりすると故障探求の意欲よりも「こんな船に乗ってられるか!」という言葉が出てくる。そうして次第に3人の気持ちがバラバラになり、ついには2年目を待たずクラブ解散に至る結果となりました。

その時の解散手段としては、船を売却してその代金を3人で分配するというのものでした。しかし、急いで売るとなると価格的に不利ですし、一方せっかく手に入れた船だからもう少し頑張って不具合を解消してみたいという気持ちも私には残ります。その結果、私が、解散を主張するメンバーに彼の出資額を全額補填することで自主退会してもらい、残りの2名で船を維持する方向で話がまとまりました。
ただ、残りの一人も全ての費用の折半では負担が大きいということで、変則的ではありますが、私が退会したメンバーの分を肩代わり(2/3を負担)することで存続させる事になったのです。
やはり、共同所有は・・・難しい・・ということを実感いたしました。いっそのこと全ての権利を買い取って一人所有にすべきか、それとも別の問題が起きるまで取り敢えずこの形態を続けるか・・しばらく悩みは続きそうです。

トラブルさえ無ければ・・・せめてすぐに直れば・・・今はその気持ちで一杯です。

=> My boat life 2003へ続く