*ムールの白ワイン煮は簡単で美味
ベルギーの名物料理であり、安く簡単に出来る美味しい料理なのですが、それを日本で再現するのは何と大変なことでしょうか。テレビによると東北の方でムール貝を養殖しているとのことですが手に入れる方法がわかりません。また、レストランでたまにムール貝の料理というのがありますが、皆さん殻を良く見てくださいね、裏側に緑色のきれいな模様があったらそれはムールではありません。パーナ貝とかいう南の方の貝です。それでムールで通るなら私の故郷の北海道の海岸に行ってみてください、いくらでも岩にくっついていますから、似たようなのが!大体が小さいのですが、深場の大きいやつは塩ゆでにしたり、カレーに入れてましたからね。でも本当のムール貝は泥地の海岸に棲息していて岩にくっついてはいないのです。そして7月8月には魚屋では見かけません。その頃はスペイン産が出回りますが、大きく固く甘みが違いますね。
さて、本物のムールは手に入ったとします。例えばパリとかブラッセルに行ってキッチン付のホテルに滞在した、早速近くのマルシェとかスーパーに行ってムールを買ってきたとします。、そうですね、最低一人1Kg見当で買ってきてください。2Kgでも大丈夫です。あと、バターとセロリ、タマネギとニンジンも欲しいですね。そして絶対に必要なのが白ワイン、貴方かなり召し上がる?であれば2本行きましょう。なにもシャブリだのプイイフュッセとか言いません、高くてミュスカデで十分です。これでも十分以上美味しいし安いですから。今は違うかもしれませんが、多分ムールが小袋で2Kg\800位、ミュスカデが一本¥800-1000位だと思います。
さてムール貝をざっと洗っておき、深鍋に水を入れてざく切りのニンジンやタマネギ、セロリを入れて煮立ったところでムールを投入、さらに白ワインを1キロに付きカップ一杯ほど、つまり2Kgならざっとボトル半分近くドボドボと入れてしまいます。塩味は貝から出ますので入れません。バターも加えて殻が開いたら出来上がり。鍋ごとでかまいません、必ず殻入れのボウルを用意してテーブルに出します。
さて、食べ方です。ベルギーのどこのレストランでもこの料理はありますから覚えておいて損はありません。
もしパリにいらしたのなら、下手な日本食屋に行くより添乗員にでも案内させるか仲間を集めてシャンゼリゼを凱旋門からルーブルに向かって右側を歩いて行ってください。住所は63番地、メトロの「ジョルジュサンク」と「ルーズベルト」の中間、イラン航空の隣の青いキャンバスが「Leon de Bruxelles(レオン・ド・ブリュクセル)」です。(写真左)他にもオペラやレアール、モンパルナス、サンジェルマンなどあちこちに出来ているようです。宿泊先がエトワールから遠いのでしたらホテルのコンシェルジェに一番近い店を聞いてみるといいでしょう。
お店に入ったら、ベルギーよりやや小振りで量も少ないですが、まずは「ムールの白ワイン煮」を注文してください。メニューの一番上に「ムール・オー・バンブラン」と書いてあるはずです。一番癖がなくて食べやすいムールの料理法です。
3人で一人前、4人で2人前でもいいかもしれません、味見だけなら。でもきっとお代わりしたくなるはずです。一人前が写真の程度ですから他に料理を頼まないなら、女性でも食べきれないことはありません。
飲み物はやはり白ワインをお勧めします。1本では多いということでしたら、半分のサイズもあります。が、あまりアルコールを飲めないということでしたら、ベルギーのビール「クリーク」をお試しください。フランボアーズから作るので泡はピンク、味は甘酸っぱい不思議なビールです。話の種になりますよ。左の写真のボトルが一般的な250cc瓶です。
ちなみに本店は、ブラッセルのグランプラスから王の家横の小路を奥に入った突き当たりにある「Chez Leon」といいます。
さて、前置きが長くなりました。
要はまず空いた殻を探してそれをピンセットのように片手で使って、もう片方の手で貝を拾っては身をつまんで食べてください。そして食べ終わった殻は旅館のスリッパを重ねるように順に差し込んでいきましょう。こうするとスペースも有効に使えますし見た目もきれいですから、あとでテーブルを片づけにきたウェイターが「おぉ何と素晴らしい食べ方だ、ジャポネもなかなかやるな!」と驚いて、整頓好きの礼儀正しい日本人のイメージを残しながら国威発揚(古っ~ぅ)に貢献できること必定です。
*追記
築地に出入りするようになってから、ムールが有るのを見つけて何度か買ってみました。いつも愛知県産のものなのですが、スペイン産と同じように貝の中からヒゲというか「草」みたいなものが生えています。いつものようにワイン煮にしてみましたが、どうも身の入りが悪く、ベルギーのようなオレンジ色のぷっくりとした濃厚な身ではありません。やはり根本的に種類が異なるようです。その後、都内のベルギー料理のシェフに聞いてみたのですが、そのお店でもやはり「草」付きのムールを使っているそうです。ただし、季節によって身の入り方が違い、かなり美味しいものがあるということですので、あきらめずに時期を変えて探してみようと思っています。