マイレシピ公開!<My Favorite cooking>

12月の定番、ターキーとカモのロースト

日本ではあまりお馴染みが無くて、ヨーロッパではポピュラーな食材としてはラムともう一つ鴨ではないでしょうか。最近は日本のスーパーでも鍋用に胸肉の薄切りを売るようになりましたが、まだ丸ごとのローストはおろか胸肉のステーキも家庭ではあまり見られないようです。

また、知名度の割には家庭で料理することが少ない素材としてはターキー(七面鳥)がありますね。アメリカ映画やテレビドラマで良く出てくるあれ・・です。我が家ではクリスマスとか大晦日、正月などに良くターキーや鴨のローストを用意します。特にターキーは、子供の誕生日が12月なのでその時に友人を集めてパーティをするのですが、大人数の時にはボリウムがあって見栄えがするので我が家では欠かすことの出来ない一品となっています。
これもお宅によって中に色々と詰め物をするようですが、私はいつも詰め物はせず、グレービーやクランベリーソースでいただきます。
では作り方をご紹介しましょう。まずはターキーの下処理からご説明します。

仕入れるのはいつも麻布の「日進/ミートラッシュ」です。ニュークイックやハナマサ、成城石井でも扱っていますし、大きなスーパーなら注文しておけば取り寄せてもらえるようです。
アメリカ産の冷凍された物がありますので、それを購入しましょう。値段としてはそう高いものではなく、グラム60-70円くらいです。
ターキーでは3.5Kgから5Kg程度のものを使います。これより大きいと日本の普通の家のオーブンレンジには入らないからです。(写真一番上)
鴨の場合はほぼ大きさが決まっていて、同じくアメリカ産の冷凍で大体1.2-1.4Kg、値段は1600円前後というところです。最近はタイ産の鴨もあります。アメ横のセンタービルの地下にある肉屋で買えます。中国人は{アヒル」と呼んでいますが、鴨は基本が野生で、それを家畜化したものがアヒルなのです。なんとハラル認証を取っているので、イスラム教徒の友人に出しても大丈夫です。アメリカ産よりも安く、痩せていますが美味しさは変わりません。

準備はターキーの場合、食べようとする三日前に仕入れるところから始まります。まず一日かけて完全に解凍します。

解凍が終わったら水洗いしてお腹の中に詰め込んである首とか砂肝を取り出します。首は塩ゆでにすると、食べるのが少々面倒ですが味は美味しいです。砂肝は銀皮をとって薄切りにしてニラと一緒に中華風に炒めると良いでしょうが、一個だけでは面倒かも知れませんね。

キッチンペーパーで水気をふき取ったら胸のあたりの皮には脂肪が沢山付いているので調理用のはさみで切り取ります。ちょうどトックリセーターの首を切ってUネックのシャツにする感じですね。(写真二番目)

特に鴨の場合は脂肪が多いですからお腹の方も掻き出すようにしてしっかりと取りましょう。
(詳細は下の写真参照)

次に手羽の先をひねって背中側、丁度首の付け根あたりに持ってきます。こうすると胸を上にしたときに倒れずに形が決まります。
また、足の方には先が広がらないように輪をかけるプラスチックの部品がありますのでこれも使いましょう。
ここで4Kgのターキーに対して大さじ2杯の塩と小さじ1杯弱のブラックペパーを混ぜたものを全体に振りかけて一晩置き、中まで下味を付けます。塩の基本は重さの1%ですので、4kgなら40g、1.5Kgなら15gと覚えてください。(写真三番目)

そして焼く前の晩に最終的なシーズニング(調味料)を振りかけます。ここで我が家の秘密兵器、ベルギーのシーズニングの出番です。これはDUCROSというフランスのメーカーのPoulet/Kip用スパイスミックスです。(右の写真四番目の黄色いキャップのビンがそうです。)Pouletはフランス語、Kipはフラマン語でチキンのことを言いますので、ローストチキン用の調味料なのですが、カレー粉が入っていて我が家ではチキンは勿論、ターキーも鴨にもこのシーズニングを使っています。
これとパプリカ、セージやタイムを振りかけて半日おけば味付けは完了。
皆さんの場合は、
チキンなどの重さの1%の塩にブラックペパー、パプリカ、セージ、オールスパイス、ナツメグ、カレー粉などを適量混ぜた(全重量が塩の1.5倍くらいになるように:2キロの鴨なら塩20g+スパイス各1g+カレー粉3g+パプリカ=30g)ものです。カレー粉自体がスパイスミックスなので、最低塩とブラックペパーとカレー粉だけでも十分いい香りになります。パプリカは着色目的ですからもっと多くてもかまいません。全体にむらなく、お腹の中も忘れずにまぶしてください。これで下準備の完了です。

<鴨の場合>
鴨は特に脂肪が多いので、以下のようにして余計な脂肪を取り去ってください。


約半日かけて解凍が終了した状態です。

袋を破くとお腹の中に首と内臓が入っています。

取りだした首と心臓と砂肝、それにレバー。

お腹の開口部分には脂肪がいっぱいです。

キッチンハサミを使うとやりやすいですよ。

お腹の方だけでこれだけの脂肪がとれました。

こちらは首の方、長い首の皮がついています。

こんな感じで首の周囲まで切り取ります。

さて、味付けが終わりました。冷蔵庫で一晩、味を染みこませてから、いよいよ焼きに入ります。なお、焼く1-2時間くらい前には冷蔵庫から出して室温に戻しておきましょう。

さて、焼きに入りましょう。
オーブンを予熱して、4キロ前後でしたら180度で最初は背中を上にして、途中でひっくり返しながら、50-60分焼きます。 また、5キロくらいのものでしたら170度で100-120分というところでしょう。焼き上がったら、最後に余熱で10-15分くらい置いておきましょう。余分な水分が飛んで美味しくなります。

なお、大抵のメーカーのターキーには胸に赤いボタンが差し込まれていて、中まで火が通るとボタンが飛び出すようになっていますが、これはアメリカ人向け、私の好みではそれまで待っていると焼きすぎでパサパサに思えます。モモの辺りが一番火が入りにくいので竹串や温度計で様子を見る方がいいでしょう。内部の温度が75度になれば焼けています。

 鴨の場合は胸肉の中心がピンクくらいが丁度いいので特に焼きすぎないようにしてください。目安としては170度で1時間です。

焼けるのを待つ間にソースの用意をしましょう。
と言っても簡単で美味しいのは、ローリーズから出ているインスタントのグレービーソースを使うことです。明治屋とかデパートの輸入食品コーナーで手に入ります。袋一杯の粉を240CCの水で溶かして暖めるだけですから、すぐにできあがります。

また、ターキーの場合はクランベリーソースもよく使われます。日本名はツルコケモモだそうですが、赤紫色のジャムですね、簡単にいうと。これも輸入品で缶詰で売っていますが、入手出来ないときはちょっと甘みが強いですがブルーベリージャムでも代用できます。

胸肉が一番柔らかいのでお客様にはここをサーブするのですが、手羽もモモも肉の味がしっかりとしていて美味しいですよ。何しろ大きいのでチキンより食べ応えがあります。鴨の味は濃厚で少し固いですが噛みしめるとついワインに手が伸びてしまいます。

最後に残った骨は捨てずに、鍋でネギと一緒にゆでてスープを取ります。スパイスがほんのり効いて美味しいスープがとれますよ。
ネギを散らしてそのままスープとしてもかまいませんし、あるいはインスタントラーメンをこれで作るとコクがでます。ただし塩分が既に含まれていますからラーメンのスープは半分くらいにしておかないと塩辛すぎます。我が家で一押しというと、このスープで作る「あったか素麺」(写真下左)です。作り方はこちらをどうぞ!

 

そして、もしターキーが残ったら・・・・そのままでももちろん美味しいのですが、ターキーサンドイッチ(写真右)にしてみませんか?食パンでも良いのですが、できればフランスパン(バゲット)を使いましょう。しっかりとしたパンの噛みごたえがターキーとよく合います。横に半分に切ってレタスやキュウリと一緒にターキーをはさむだけです。ターキーには塩コショウ、あるいはグレービーを塗っておきましょう。

 

<おまけ>
鴨のおなかにはかなりのレバーが入っています。これを捨てるのはもったいない、なにか使い道はないかと考えてレバーのパテを作ってみました。レバーだけでは味が単調になるのでタマネギを薄くスライスしてフライパンで炒めます。透き通ったらレバーを入れてへらで潰しながら良く炒め、塩、コショウ、砂糖、香り付けのウイスキーを加えて水気が無くなるまで煮詰めます。それをフードプロセッサーで細かくして、型に入れて冷やせば鴨のレバーペースト(パテ)の出来上がりです。無塩クラッカーやフランスパンに塗ってバジルをパラリと振りかければ、立派なパーティのおつまみになりますよ。


タマネギと一緒にレバーを炒めます。

こんな風に水気が無くなったら出来上がり。

フードプロセッサーで滑らかにします。

パンやクラッカーに塗って召し上がれ。

  

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