夏休みヨーロッパ旅行

8月15日(月)第10日目

いつもと同じ時間の8時の朝食をすませてそろそろ9時、フォンテンブローのカフェに電話をしてみましょう。
「ボンジュール、あなたは英語を話しますか?」
「スコシ・・」と男の声が答えます。
「あのですね、私は昨日お宅でお昼を食べた日本人の旅行者ですが、支払いをクレジットカーでしたのですね。OMCカードなんですけど・・アロー、ワタシ、キノウノランチ、アナタノミセ、タベマシタ。ワタシ、ハライマシタ、クレジットカード、オーエムセー・・・」と、英語とフランス語で交互に説明したのであります。
そうしたら「おお、あんたか?カルトブルーのムッシュか?」
「ウィウィ、ソレ、ワタシ、グレーノプラスチック(あたりまえだ)、カルトオーエムセー(OMCカード)!アナタモッテイマスカ?」
「あるある、あるある」との答えです、やった!ちなみに「カルトブルー」はフランスで一般的なクレジットカードの銘柄です。
「ワタシ、パリニイマス、イマ、アナタヲホウモンスル、トウチャク、イチジカン、OK?」
「OK、OK、カードはここにある。私は店にいる。」
てな会話がありまして、やはりクレジットカードは例のカフェにあったのであります。良かったです。ともかくそれを回収に行かなくてはなりません。「カードがあった、行くぞ」と車を走らせて1時間後、昨日の店の前に車を止めて飛び降り、レジへかけつけました。ホールでテーブルを準備していたおっさんが私の顔見るなり「あぁ〜」というなりカウンターの裏に入って引き出しから私のクレジットカードを取り出しました。名前を確認し、「コレ、ワタシノカード、メルシィ!」と財布に収めたのであります。

やっぱり店でカードを渡すのを忘れたんじゃないか!すぐ気が付かなかった私も悪いのでありますが・・・・昔はクレジットカードは細い溝にシュッと走らせて読み取り、プリンターから出た紙にサインするというものでした。今はカードをレジに差し込んだり、ポータブルの端末に差し込んで、テンキーでPIN(暗証番号)を押すとレシートが印刷されて出てくるという方式になりました。このときにありがちなのがレシートだけピッとちぎって渡し、カードを端末から抜くのを忘れるというものです。事実、過去にフランスに出張したときに店員がカードを返し忘れるということを2回経験していますので、今回もすぐにカードは店に残っているのだろうと思い至ったわけです。

さて、無事にカードを回収して、これからどうしよう?当初は市内見物の予定でしたが、パリに戻るのに1時間、それよりは市内見物は翌日にして、近くの名所を訪ねるほうが効率が良さそうです。というのもフォンテンブローの隣にバルビゾンという村があります。ここにはミレーやコローなどの風景画家が集まっていて「バルビゾン派」と呼ばれるようになったのです。せっかくですからどんなところか見てみようではありませんか。

田舎道を走ること15分でバルビゾン村に着きました。村の中央の観光案内所の前の広場に車を止めて村内を歩きます。観光案内所は閉まっていました。というのは、8月15日はアサンプション、日本語で言うと 聖母被昇天祭というカトリックの休日なのです。公共の場所はもちろん、店も閉まっていますのでパリの市内を歩くよりも地方で景色を見るほうが正解なのであります。まずはミレーのアトリエを訪ねてみましょう。ミレーの家は納屋を改造してアトリエと居住区を作ったもので、後の名声とは別に非常につつましい生活であったことがわかります。


フォンテンブローに向かうオートルートで見つけた、ロボットのような形の高圧送電線タワーです。

バルビゾン村の中心に向かいます

村の中を歩いて散策します。

なかなかしゃれた小径です。

小さな教会がありました。

素朴な会堂ですね。

これは何の像でしょう?

趣のある建物がたくさんあります。

このツタがいいですね。

この家もツタが・・・

村の真ん中の道路です。

この家もきれいな造りですね。

窓の花が美しいです。

これがミレーのアトリエです。

ここがアトリエの部屋であったと思われます。

壁一面にミレーの作品がかけられています。

暖炉があるのでここは居間だったのでしょう。

3つある部屋の真ん中で、右は食堂です。

広くはないですが納屋を改造したとは思えない、いい造りのアトリエでした。

ミレーの「晩秋」の看板です。

ツタって悪くないですね。

この壁のツタも年季が入っています。

このレストランはちょっと高いなあ・・

それにしてもこのバルビゾンという村は、落ち着いていて、端正で瀟洒な雰囲気がありますね。多分、ずっと昔からこの状態を維持しているからこそ、芸術家たちが集まってきたのでしょう。さて、お昼になりました。天気が良くて暑いので、ランチには軽いイタリアンなんぞが良いのですが・・・見つかりませんね、それらしき店は。
そこで車に戻って村の外に出ることにしました。とはいってもどっちの方角に行くべきか。パリは北ですがこれから市内に戻ってランチでは遅くなりすぎます。西にはシャルトル、大聖堂のステンドグラスがきれいだそうです。その先のルーアンはいい町ですが、ちょっと遠い・・・南西にはオルレアン、ジャンヌダルクが生まれた街です。すると息子がジャンヌダルクの家を見たいと言い出しました。よし、決定!オートルートの途中のパーキングで昼食です。このレストランも上下線をまたぐ構造になっています。窓の下を車がビュンビュン走っていきますよ。

オルレアンの街に入り、とにかく中央広場を目指します。広場前の道路に車を止めて、パーキングメーターにお金を入れようとするも機械に電気が来ていません。通りすがりの人が「フェット」と言いながら指をチッチッチと振りながら去っていきました。そうです、8月15日、祝日なので駐車は無料なのでした。車からカメラを出し、座席の上にはなにもないことを確認してドアをロックして広場に向かいます。ありました、高い台の上に、馬にまたがるジャンヌダルクの銅像です。100年戦争でイギリス軍に包囲されていたオルレアンの街を開放し、その後イギリス軍を圧倒してフランスの勝利を導いた英雄でありながら、後には宗教裁判で魔女と断定されて19歳で処刑された悲運の女性です。広場からすぐのところには彼女が滞在した家があり、今は博物館となっていますが、祝日ということで中を見ることはできませんでした。


これがレストランです。

テーブルに着きました。

ここはちょうど高速道路の真ん中です。下を車が走っていきます。

チキンのタジン料理は9.3ユーロ。

チーズバーガーは10.9ユーロです。

道路に駐車したのですが・・・

パーキングメーターは動いていませんでした。

マルトロワ広場の中央に立つのはジャンヌダルクの銅像です。

台座には「ジャンヌダルク、全フランスの勇気はオルレアンと共にあり」とあります。

確かに10代の乙女の顔ですね。

ここがオルレアンの中央広場です。

広場に通じる横道から見るジャンヌダルクの像です。

中央の黒っぽい建物が、ジャンヌダルクが滞在していた家です。今日は祝日で閉館でした。

向こうに見えるのがサンクロア教会です。

それにしても美しい街並みです。

玩具屋は日本のアニメのビデオがありました。

何とワンピースのフィギュアが19000円です。

路地への出入りを防止する昇降ポールです。

街の中に公園がありました。

ジャンヌダルクの家の前の大通りを進むと、正面に見えるのはサンクロア教会です。114メーターの塔を持つこの教会にはジャンヌダルクゆかりの礼拝堂があるそうです。中ではちょうどパイプオルガンのコンサートが開かれるところでした。フランス国内の主な教会のパイプオルガンを制作した有名なオルガン設計者のキャバイエ・コールがここのオルガンも製作したそうで、彼を称えてのコンサートのようです。せっかくなので聴いて帰りましょう。ついでに演奏者のCDを売っていたので買ってみました。やはりパイプオルガンはこの高い石造りのアーチ天井があってこそ、いい響きが得られますね。


オルレアンの象徴でもあるこの教会にはジャンヌダルクの聖堂があります。

この教会の塔の高さは114メーターです。

何とも美しい聖堂です。

外から差し込む光が印象的です。

正面奥に素晴らしいパイプオルガンがあります。

この見るからに美しいパイプオルガンの製作者がキャバイエ・コールなのです。

教会内にキャバイエ・コールがパネルで紹介されていました。

これらはパリ市内にあるキャバイエ・コールが作製したオルガンの例です。

低いイスは跪いて腕を組むためのものです。

この光に祈りを捧げます。

入り口の脇には賢人の像がありました。

全部で4体ありました。

ステンドグラスには・・

ジャンヌダルクの生涯が・・

十数枚に渡って・・

描かれています。

それにしても美しい教会でした。

素晴らしい演奏を堪能して外に出、広場のほうに向かうときれいな石の建物がありました。昔の代官であったジャック・グロロの家で、後に市庁舎として使われたものです。ここも祝日ゆえの無料公開となっていましたので中を見学しました。


市庁舎として使われたグロロ邸です。

入り口にジャンヌダルクの像がありました。

素晴らしいシャンデリアです。

入ってすぐの大広間です。きれいな部屋ですね。

会議室のテーブルです。

壁紙が美しいです。

ここは控えの間です。

ここが市長の執務室ですね。

市長のイスでしょう。

壁紙が派手ですね。

全体に重厚な装飾です。

この暖炉の大きいこと。

さて、パリに戻ってきました。シャワーを浴びてさっぱりして、前夜は中華でしたしパリでの最後の夕食ですからレアールの「フィラモンド」に行きましょう。ベルギー時代から知っているノルマンディー料理が美味しい店で、14年前に来たときは息子が初めてデザートのクレームブリュレを食べて「美味しくて、生きててよかった・・」という名台詞をはいたお店です。また、2年前の出張のときには新しい経営者夫婦とおしゃべりもして美味しいカン風トリップ(牛の胃袋)の煮込みを楽しんだものです。地下鉄に乗ってレアールに行き、レストラン街を記憶を頼りに進んでさあ、着いたと思ったらお店は真っ暗。ガラス戸には張り紙があって8月25日まで夏休みとあります。なんとも残念。
仕方なく周囲を歩きながら良さそうな店を探しますが、どこもありふれたフレンチばかりです。せめて魚介の店くらいないかと探すうちにイタリアンの店が目に止まりました。一応「リストランテ」と看板に書いてありますし、テーブルには白いクロスがかかっています。(パスタ中心の店は「ピッツェリア」と呼び、テーブルクロスがないのは庶民的な軽食の店なのです)客が少ないのが気になりますが、お昼にイタリアンが食べられなかったのでふらりと入ってみました。メニューにはぎっしりと地方ごとの料理が書いてありますが、良くみるとどれもパスタばかり。前菜も魚も肉もありません。なんだ、これはリストランテじゃなくてピッツェリアだろうと思いましたが、後の祭り。カラフのワインとピザ、それにチーズのスパゲティとクリームソースのリングイネを頼みました。ワインは安いけれどまあまあ、そこにキングサイズのピザがドンと到着。しまった、やっちゃった、と思うまもなく大皿のスパゲティとリングイネ?なんだかイメージがちがって色がグレーなのですが、ドスンドスンとテーブルに置かれました。どひゃ〜特大ピザに、どう見ても大盛り2人前のパスタが2皿。これがイタリアの田舎町なら用心するところですが、パリの中心のレアールなので量も上品だろうと勝手に思い込んだのが失敗でした。オルレアンでコンサートを聴いたために遅い時間にパリに戻り、お腹はぺこぺこでしたからなんとか食べきることが出来ましたが、大量の炭水化物を摂取してパンパンのお腹をさすりながらホテルに戻ったのでありました。


なんとも悲しいことに「フィラモンド」は夏休みでした。

イタリアンに釣られて入ったのはいいのですが・・・巨大なピザが到着です!

チーズスパゲティ。見た目はおいしそうですがなんという量。これで1人前ですよ。

クリームソースのリングイネ。たしかにクリームですがグレーなのはなぜ?

腹ペコの息子ががんばって食べてくれそう。

ワインは安いですが、まあまあの味。

8月16日(火)第11日目に続く

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